更新日:2023年12月06日 20:34
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靴の専門家“シューフィッター”が選ぶ「2023年の革靴ベストバイ」3足

第1位:「本当は誰にも教えたくない『超・本格革靴』」

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UNIVERSAL LANGUAGEストレートチップシューズ「UNION IMPERIAL別注/ボックスカーフ」。3万5200円。写真は公式HPより

最高級の革と製法で3万円台。本当は秘密にしておきたかったのですが、SNS上でそのヤバさがばれてきてしまったので、ここで公開してしまいましょう。洋服の青山が展開するブランド「ユニバーサルランゲージ」と、国内の老舗メーカー「世界長ユニオン」のコラボアイテム、UNIVERSAL LANGUAGEストレートチップシューズ「UNION IMPERIAL別注/ボックスカーフ」(3万5200円)です。 本来であれば、このクオリティで6万円以下はありえません。この値付けは明らかにおかしいと言っていい。「一足くらいは本当にいい靴を買ってみたい」という方であれば、迷いなくこちらで決まり。メンテナンスさえ怠らなければ、10~20年は履き続けることができます。 その理由は、3位のホーキンス、2位のテクシーリュクスとはちがって、150年以上前からの「ザ・クラシック」なつくりを頑固なまでに変えないグッドイヤーウェルテッド製法にあるからです。いわゆる「本格革靴」そのものなのです。
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写真は公式HPより

中でもこのシリーズは革質までトップレベルです。「牛革」といっても品質には、何段階もありますが、イタリアの有名タンナーの最高級レベルの革しか使っていません。厳選された革を人の目でよく見て選び、革の伸びる方向を見定めながら裁断し、底付けに至っては半分以上が手作業なので、機械製と呼ぶのは気が引けるレベルです。
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写真は公式HPより

さらに靴の命ともいえる木型も地味に改良を重ね、小指付近が当たりにくくしています。このあたりは伝統とハイテクのハイブリッドといっていい。「本格革」「本格製法」と、本格を連発してしまいましたが、革靴の世界は、本当に奥が深いのです。その深遠が垣間見られる逸品だと断言しておきます。 最後に革靴への深遠なる世界へいざなうバイブルを紹介しておきます。日本人にとって革靴はたかだか100数十年の歴史しかないのに、不思議なことに本格的な靴好きがこれだけ集まっている国はほかにありません。私が監修としても携わっているマンガ『靴の向くまま』(著・みやびあきの/講談社)もなんの知識がなくても、「靴の面白さ、美しさ、奥深さ」がするっと入り込む内容です。とくに、靴には興味があるけれど、本格靴はお高くとまってとっつきづらいという方にはうってつけでしょう。 革靴はハイテクも伝統もどちらも選べる時代になりました。スニーカーがどんなに履き心地が良くても、こと「美しさ」の点に関しては、革靴には追いつきません。玉石混合ではありますが、本当にいい革靴は抜きんでた存在になりつつあります。ビシッと決まった革靴を履いて、胸を張る。いいものですよ。
こまつ(本名・佐藤靖青〈さとうせいしょう〉)。イギリスのノーサンプトンで靴を学び、20代で靴の設計、30代からリペアの世界へ。現在「全国どこでもシューフィッター」として活動中。YouTube『シューフィッターこまつ 足と靴のスペシャリスト』。靴のブログを毎日書いてます。「毎日靴ブログ@こまつ
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