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中国で最も有名な日本人の一人・竹内亮。10年間住んでわかった“中国人の圧倒的な働き方”

中国の働き方に「日本の若者は多分耐えられない」

――IT、AIの発展も中国は著しいものがありますが、10年間住んでみてそこにも「楽」を感じたんじゃないですか。 竹内亮 再会長江竹内:10年前は、日本の方が便利でしたが、今、生活していて中国の方が断然便利ですね。何より、全てがスマホで片付くっていうことがすごい。食事から交通から買い物から、全てスマホひとつです。デリバリーの面ではとくにすごさを感じていて、配送料も100円以内ですし、椅子も机も、1時間以内に届く。シェアサイクルも、全ての駅にあるんじゃないかな。たった10年で、こんな時代が来るとは全く思ってなかったです。 ――その陰には、真面目に働く人たちが多くいるっていうことですよね。 竹内:仰るとおり。中国人って、めちゃくちゃ真面目に働くんですよ。栄養ドリンクのCMじゃないですけど「24時間戦えますか」状態です(笑)。うちの社員は、30人全員が中国人で、たまに「なんで日本人取らないんですか」って言われるんですけど、日本の若者は多分耐えられない。さらに、向上心も高いから、言語も英語、日本語も習得しちゃう。これで編集ができたら、雇う必要がなくなりますよね。

中国では驚愕の1万1000館で上映

――その激烈に働く源泉はどこからくるんですかね。 竹内:もちろんお金や地位もほしいっていうこともあるでしょうけど、何より好奇心が旺盛というのは感じます。世界中の文化、政治を知ろうとしていて、若者と話していても国際政治にすごく詳しかったりする。生産力の劇的な向上はそういうベースがありそうだなとは思いますね。 ――なるほど。竹内さんは「劇場版 再会長江」を通じて日中友好を促したいというわけではないとコメントで語っていたのが印象的でした。 竹内:そう。自分はただ、この国の現状を知ってもらいたいだけです。それを見たうえで好きになるか嫌いになるかは、その人の自由なのでどうでもいい。やっぱり、日本の人は中国という国を知らなさすぎるから、誤解が生まれる前に知ったほうがいいんじゃない。そのぐらいのテンションです。ボーっとでもいいから見てもらえたら嬉しいですね。 ――もちろん中国でも上映されるんですよね? 竹内:5月下旬からですね。ちなみに、1万1000館で上映です。意味がわかんないでしょ(笑)。日本って多分マックスで数百館じゃないですか。この時点で、中国という国の底知れなさがわかると思います。
竹内亮 再会長江

4月12日に公開予定の『劇場版 再会長江』

【竹内 亮】 1978年、千葉県生まれ。南京在住。ドキュメンタリー監督。専門学校を卒業後、ドキュメンタリー番組の制作会社に入社、ディレクターとしてテレビ東京『ガイアの夜明け』『未来世紀ジパング』、NHK 『世界遺産』『長江 天と地の大紀行』など、多くの映像制作に携わる。’07年ギャラクシー作品賞を受賞。’13年に中国へ移住し、翌年に映像制作会社「和之夢文化伝播有限公司」を設立。日本に住む中国人、中国に住む日本人の視点から、それぞれの国のリアルを伝えている。YouTubeチャンネル「和之夢(わのゆめ) 公式チャンネル」、Xは@RyoTakeuchi2333 <取材・文/東田俊介 撮影/山川修一(扶桑社)>
大学を卒業後、土方、地図会社、大手ベンチャー、外資など振り幅広く経験。超得意分野はエンタメ
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