73歳“スリのたえちゃん”の「窃盗事件裁判」で明かされた悪質な犯行手口。娘が涙ながらに語った悲痛な思い
3月26日、東京地裁である事件の判決が言い渡された。被告人は73歳の女で“スリ”の常習。捜査員の間では「スリのたえちゃん」と呼ばれていたという。
初公判は3月1日、東京地裁(水越壮夫裁判官)で開かれた。被告人は73歳の女、マスクをしていて顔をうかがい知ることはできない。入廷時には、傍聴人を見ることもなく、終始下を向いていた。
起訴された事件は2件。1件目は昨年10月の午前10時頃、荒川区内の衣料品店で被害者が持っていた手さげバックから約1万円が入っていた財布を、2件目は昨年12月の正午頃、東京・池袋の東武百貨店で同様に、被害者が持っていた手さげバックから約5万円が入っていた財布を盗んだ事件。
冒頭で、被告人は起訴内容について「間違いございません」と認めた。
検察官の冒頭陳述によると、被告人は前科が複数あり、いずれも窃盗事件を起こしていた。直近には、2019年に懲役3年6か月の実刑判決が言い渡された前科があったという。
犯行の詳細はこうだ。被告人は被害者の背後から近づき、手提げバッグの中身を確認。その後、被告人は周囲から犯行が見えないように、現場の店舗で販売されている衣服を使って、バックを覆うように隠しながら財布を盗んでいたという。犯行当時、警察官が年末の特別警戒で巡回中、偶然にも被告人を発見したことから行動を注視しており、後方から犯行を現認した警察官に取り押さえられた。
犯行の動機は「生活苦」だという。被告人は動機について「貯金を切り崩して生活していた。生活費をまかなうためにスリをすることを思いついた」と述べていた。また、被告人の娘から再犯を繰り返していたことから「今回が最後だからね」と言われたとも語っていたという(被告人の調書)。
公判では、弁護側の情状証人として被告人の娘が出廷。母親である被告人の監督や具体的な支援方法について証言した。
証人は、弁護人からの「被告人がスリを繰り返す理由はなんだと思うか」という質問に、「病気だなと思っています」と涙声になりながら答えた。また弁護人からの「母親の人物像とスリの犯行を繰り返すのとは、ギャップはあるか」という質問に対して、「とても信じられない」とも胸の内を語った。
起訴された2件の窃盗事件
出廷した娘が涙ながらに話したこと
2002年生まれ、都内某私立大に在籍中の現役学生。趣味は御神輿を担ぐこと。高校生の頃から裁判傍聴にハマり、傍聴歴6年、傍聴総数900件以上。有名事件から万引き事件、民事裁判など幅広く傍聴する雑食系マニア。その他、裁判記録の閲覧や行政文書の開示請求も行っている。
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X(旧ツイッター):@Gakuse_Bocho
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