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新築住宅を建ててからでは遅い。「屋根材」をケチると雨漏りの原因に

下葺き材=ルーフィングの素材は、必ず確認すべし

屋根の素材は瓦、スレート、ガルバリウム鋼板などが代表的。押村が使うのは、セメントに樹脂などを混ぜた「ハイブリッド瓦」だ。 yane001「従来の粘土を用いた瓦は、重いため耐震性に難ありということで廃れてきました。その点、ハイブリッド瓦は軽量なので、粘土瓦の半分程度の重量しかありません。寿命も50年、長いと100年保つと言われています。また、瓦のウェーブした形は非常によく考えられたもので、そこに空気を通すことで自然と断熱ができるつくりになっています。積み重ねた歴史というのは、本当にすごいものです」 夏場に屋根裏の室内温度を計測すると、およそ5〜10度ほど低いのだとか。 「現在、屋根に多く使われているスレートやアスファルトシングルといった素材は、安価で軽量ですが、劣化が早いので、10年に1度ぐらいのペースで、メンテナンスが必要です。また最近はやりのガルバリウム鋼板は、屋根が熱せられると、屋根裏の温度が上がりやすくなります。また鉄板なので雨音が響きやすい。気にならないという人も多いのですが、気になるという人もいるので、よく考えましょう」 屋根を選ぶうえで、もっとも大事なことは、その下葺き材にあるという。 yane003「下葺き材とは、下地材と屋根の間に挟む防水シートのこと。ルーフィングと呼びますが、この下葺き材の素材を必ず確認してください。もっとも普及しているものにアスファルトを主成分としたアスファルトルーフィングと呼ばれるものがありますが、これは絶対にやめましょう。ペラペラの紙のような素材で、手で引きちぎることができます。商品の寿命は約10年と短い。わざわざハイブリッド瓦を使っても、ルーフィングが低品質であれば、台無しです。見えない箇所なので、住宅会社も、わざわざ施主に確認したりしないので、不織布タイプのルーフィングに変更したいと言ってください。屋根の寿命に直結します」 押村曰く、「平米計算で100円でも200円でも上げるだけで品質が上がる」とのこと。ちなみに太陽光発電については、故障して撤去する費用やメンテナンスを考えるとエコだとは到底思えないので、採用しないそう。次世代のソーラーパネルに期待しているとか。 〈取材・文/ツクイヨシヒサ〉
(おしむらともや)スタイラス所属。20代で建築、都市計画、インテリア、暮らしについてカナダ、アメリカで学び、輸入住宅などを手掛けるも挫折、住宅とは何かを見失う。大手ハウスメーカーや大手デベロッパーにコンサルティングして感じた「業界の嘘」と「都合の良い慣習」に納得できず、悪しき慣習にまみれた日本の住宅づくりからの逸脱が始まり、住宅業界の異端児となり、1000棟以上の建築設計を手掛ける。2022年7月にYoutubeチャンネル『ジュータクギャング』を開設。近著『美しい家のつくりかた

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1000軒の家を建ててわかったこと

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