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「子供に野球をやらせたくない」親のホンネ。少年野球にはびこる“オレ流指導”の問題点とは

 ここ数年、野球人気は高まっているが、野球人口は減少傾向にある。このもどかしい状況は2048年には衝撃の事態を迎えるという。3月11日付けの日本経済新聞「1億人の未来図」では、スポーツ庁が公表した統計調査と人口の推移から、2048年には高校の硬式野球部員は今よりも7割減るという衝撃のデータを掲載した。

野球を“始めること”の抵抗感

少年野球

写真はイメージ(以下同)

 野球は好きであっても、野球を“始めること”に抵抗感を覚える子供や親は予想以上に多い。筆者のパパ友のFさんは元高校球児で、時間があれば小学校6年生の息子とキャッチボールを楽しむのだが、親子揃って地元の少年野球チームには入らないという決断をした。 「いくつかのチームにも練習参加しましたが、息子も交えて家族で話し合い、野球チームに入るのはやめました。一番大きな理由は週末だけでなく祝日も含めて休みがほぼなくなってしまうことでした。妻とも話したんですが、私は子供にはいろんな選択肢というか経験をしてもらいたいんです。一緒にキャンプに行ったり、水族館に行ったり、野球だけでなくサッカーをしてみたり、観戦したり……。それがほとんどできなくなるのは正直、親としてもストレスだなと」  最近では、練習の参加は自由、親の手伝いも強制はしないというチームも増えているというが……。 「それは建前で、試合や大会が近くなったら練習は休めないですよ。お茶当番も強制はないって言いますけど、やっぱり一部の親御さんたちがせっせと準備を手伝っているのを見たら、素通りはできませんからね」

今もなお続く「根性野球論」

 今回取材でいろいろな親御さんに話を聞いたのだが、休みが潰れるという声は想像以上に多く、筆者のパパ友のように指導者に対して疑念を抱く人も少なくなかった。小学3年生から地元の野球チームに息子を入会させたAさんは当時を振り返る。 「未だに根性論みたいなのがまかり通ってるチームはありますし、そういうコーチもいますよ。息子が入ってたチームもそういう雰囲気があって、捕球やバッティングの教え方とかすごく雑だった(笑)。ひたすら素振りして、ひたすらノックすればいいみたいな。サッカースクールの体験入会に行ったこともあるんですけど、教え方の違いに愕然としたことを覚えてますね。たしかにひたすらノック受けて素振りしたら上手くなるかもしれませんが、もっと理論的に教えてくれる人がコーチにいないと、親としてはちょっと不安ですね」  Aさんの息子さんは結局、5年生の秋、中学受験を機に野球を辞め、現在はもっぱら観戦する派だとか。
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少年野球チームの圧力により、野球塾を廃業した元プロ野球選手も…
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グルメ、カルチャー、ギャンブルまで、面白いと思ったらとことん突っ走って取材するフットワークの軽さが売り。業界紙、週刊誌を経て、気がつけば今に至る40代ライター

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