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「中途採用なのに職歴ゼロ」地方公務員たちの“民間とは違う”働き方のリアル

誰もが一度は足を運んだことのある役所だが、そこで働いている公務員の実態については意外と知られていない。 筆者(綾部まと)は、メガバンクで8年間法人営業に従事してきた。地方店に配属されていた頃に市役所を担当した経験があり、担当者から内情について教えてもらった。今回はそれらの経験から、地方公務員の裏側についてご紹介する。 なお、本記事の地方公務員についての話は、すべての公務員に当てはまるわけではないことをあらかじめ断っておきたい。

①中途採用なのに「職歴ゼロ」

公務員

※写真はイメージです。以下同

地方公務員として働いて10年目になるAさんは、職場についてこう語る。 「僕のように大学を出てすぐ入所する者もいれば、30代で入所する中途採用者もいます。中途採用と言っても民間企業のように、前職で何を成し遂げたとか、志望動機はあまり重視されないと聞きました。職種によって年齢制限はあるものの、試験さえ受かれば誰でも働くことができますからね」 そのため中途採用者の中には、出世争いにうんざりしたり、人間関係でメンタルを病んだりして「もう民間はこりごり」という者たちも一定数いるのだという。筆者の知り合いにも全国転勤に嫌気がさして、公務員になった元銀行員がいた。 「でも中途採用者の中には、職歴ゼロの者もいます。僕の隣の課にいた男性が、まさにそれでした」

「地主でやることがないから」公務員になった

「彼は高校を卒業してから、仕事もせずにふらふらしていたらしいです。旅行でバリ島に行って、そこで出会った現地人女性と結婚することになって、日本に連れて帰ってきたとのことでした。家事は奥さんがやってくれるから、やることがないから地方公務員になったようです」 生活資金をどうやって稼いでいるのか気になったAさんは、彼に尋ねてみたそうだ。 「彼は地主だったんです。辺り一帯の土地を持っていて、賃貸収入だけで何もしなくても暮らせるみたいですね。社会人歴ゼロだから民間企業は難しいと思って、ノルマがなく定時で帰れる地方公務員を選んだようです」 “やることがないから仕事をする”とは何とも贅沢な理由に思えるが、働く理由は人それぞれなのかもしれない。
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年功序列で給料が上がるから…
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ライター、作家。主に金融や恋愛について執筆。メガバンク法人営業・経済メディアで働いた経験から、金融女子の観点で記事を寄稿。趣味はサウナ。X(旧Twitter):@yel_ranunculus、note:@happymother

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