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おっさんがネット上の美人に騙される理由は「特にない」が正解なのかもしれない

全てに猜疑心を抱く円卓会議

円卓会議

写真はイメージです

そんな中、非常に判定が難しい事例が出てきた。 職場の取引先の女性と仲良くなった、今度、一緒に映画を観に行くというケースだ。相手の女性はおっさんと同年代である。女子大生でも20代でもないので瞬殺判定とはならない。 取引先に行くうち徐々に仲良くなり、相手の女性が「推し」のアニメの話をしてくれるようになった、というものだ。 おっさんはそのアニメのけっこうなファンで、意気投合。かなり話があって盛り上がったらしい。こんど映画でも行ったあとに、そのアニメのコラボカフェに行きましょうということになったようだ。 「これは騙されてないんじゃないですか」 僕がけっこう強い口調で意見を出す。以前からなんでも「騙されている」と判定する円卓会議の方向性に疑問を抱いていたからだ。なんでもかんでも騙されているかもなんて疑ってかかっていたら相手にも失礼だし、なにも前に進まないからだ。たまには「それは大丈夫」と後押しする結論に導くべきである。 「いや、これは危険だな」 しかし、円卓会議の判定は厳しい。

マッチングアプリでエロい女と出会ったおっさんの弁

「そう危険。普通、取引先の人と推しのアニメの話はしない。強引にそういった話をしてきた時点でなにか狙いがあるとみるべき」 「おまえ、キーホルダーがそのアニメのヤツじゃん、向こうはそれを見て話を合わせてきただけだ。完全にお前に狙いを定めているぞ」 この円卓会議は猜疑心だけで成り立っている。ほぼ全てのエピソードが“騙されている判定”になってしまうのだ。 「俺はすげえエロい女と仲良くなりたくて」 そんな中、また騙され判定をされに、ひとりのおっさんが話を切り出した。 「とにかくエロい女を中心にマッチングアプリなどを駆使して探して、ひとりの女に辿り着いたんだ。そこから仲良くなってSNSとか教えてもらったりして、なんかエロいメッセージとか交換するようになったのよ」 円卓会議の面々の目が鋭く光る。 「相手の年代は?」 「30代半ば」 「エロで働きかけてくるのはけっこう危ないな」 「エロはいちばん騙されやすいからな。注意しないと。俺たちはエロが関わると判断力がゼロになる」 自分で言うな。
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エロに翻弄される円卓会議のおっさんたち
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テキストサイト管理人。初代管理サイト「Numeri」で発表した悪質業者や援助交際女子高生と対峙する「対決シリーズ」が話題となり、以降さまざまな媒体に寄稿。発表する記事のほとんどで伝説的バズを生み出す。本連載と同名の処女作「おっさんは二度死ぬ」(扶桑社刊)が発売中。3月28日に、自身の文章術を綴った「文章で伝えるときにいちばん大切なものは、感情である 読みたくなる文章の書き方29の掟(アスコム)」が発売。twitter(@pato_numeri

pato「おっさんは二度死ぬ」

“全てのおっさんは、いつか二度死ぬ。それは避けようのないことだ"――


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