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おっさんがネット上の美人に騙される理由は「特にない」が正解なのかもしれない

エロに翻弄される円卓会議のおっさんたち

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写真はイメージです

エロに関してよほど痛い目に遭っているのか、面々の眼光も2割増しくらいで鋭くなる。 「エロを押し出してくる女は騙しである可能性が高い」 いつものようにそのような判定が下されようとしたとき、その展開を見越したかのように依頼主が補足した。 「でもね、度を超えたエロだとしたら?」 ザワっとした空気が一陣の風のように円卓会議を駆け抜けた。 「そう、俺たちの想像の範疇を超えるエロ女が相手だとしたら」 この言葉で雲行きが変わってくる。 「もしかしたら、度を超えたエロなら、俺たちを騙してこないかもしれない。だってその度を越えたエロい女はエロが目的ってことだろ。騙すよりエロに夢中よ」 「確かにそうだ。度を超えたエロい女はきっと俺たちを騙してこない」 「そうかあ、エロが目的。そういうのもあるよな」 形勢逆転だ。ほんとお前ら、エロが関わると判断力がゼロになるな。

すでにエロでバカになっているのに、まだ理性を保っているつもりの人々

「その女が度を超えたエロだという根拠は?」 判断力がゼロになりつつも、まだギリギリの猜疑心みたいなもので踏みとどまっている。 「これを見てみろ!その女のSNSだ。プロフィールを見ろ!」 そう言って依頼主はスマホの画面を印籠のように掲げた。 「こ、こいつはすげえエロだ!」 「絶対にエロいやつやん!」 円卓のメンバーたちが沸き上がる。この疑り深い連中がここまで絶賛するエロいプロフィール、いったいどんなことが書かれているのか。僕もスマホを奪ってその画面を凝視する。 そこには、顔は見えないもののややセクシーな衣装で艶めかしいポーズをとる女の写真がアイコンになっていた。確かに性的アピールは強いものの、完全にエロい女と言い切るほどではない。問題は、その下のプロフィール文にあった。
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なぜおっさんたちはこうもチョロいのか
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テキストサイト管理人。初代管理サイト「Numeri」で発表した悪質業者や援助交際女子高生と対峙する「対決シリーズ」が話題となり、以降さまざまな媒体に寄稿。発表する記事のほとんどで伝説的バズを生み出す。本連載と同名の処女作「おっさんは二度死ぬ」(扶桑社刊)が発売中。3月28日に、自身の文章術を綴った「文章で伝えるときにいちばん大切なものは、感情である 読みたくなる文章の書き方29の掟(アスコム)」が発売。twitter(@pato_numeri

pato「おっさんは二度死ぬ」

“全てのおっさんは、いつか二度死ぬ。それは避けようのないことだ"――


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