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報われない恋に悩み、AIで官能小説を書こうとしたおっさんの試行錯誤

おっさんは二度死ぬ 2nd season

生成AIに官能小説を書かせようとした男たち

「するってーとあれかい?生成AIはエロいのはダメなのかい?」 この世の中にここまで情けないセリフってあるだろうか、そう言いたくなるほどのセリフを口にしながら竹下さんは落胆した表情を見せた。 みなさんは覚えているだろうか。行きつけのスナックのママを落とそうとして、生成AIにラブレターを書かせようとした竹下さんのことを覚えているだろうか。 【過去記事】⇒世界の3割が、AIでラブレターを書くらしい。スナックのママを落とすために、おっさんも挑戦してみたが……  正直に言うと心の底からどうでもいいのだけど、生成AIなどを駆使してラブレターを作成したのはいいものの、まったく意味不明なものができあがってしまい、もちろんママに思いが伝わるはずもなく、そのうちママは別の常連といい感じになってしまい、竹下さんはすっかり蚊帳の外になって失恋してしまったという事件があったようだった。  そんな竹下さん、もうリアルでは自分の想いが遂げられそうにないと悟ったようで、最近ではもっぱら官能小説に夢中なようだ。それも読むほうではなく、自分で書くほうだ。

文章の奥深さに気づいた竹下さん

「すげえことに気が付いたんだよ。文字にして書けばどんな状況でも成立するんだ。ここは宇宙って書くだけであっという間に舞台が宇宙になっちまう。すげえな、文章って」  文章とは奥深いものだ。最近、「文章で伝えるときいちばん大切なものは、感情である(アスコム社)」という文章術の本を出版した僕から見ても文章とは奥深い。竹下さんもそれに気づいたようだった。 「でさ、最近ではママと俺がしっぽりとなる官能小説を書いてるのよ」  竹下さんのこと、前々から変な人だと思っていたけど、最近ではさらにその変な部分を拗らせてしまったようで、訳の分からないところに飛躍してしまった。 「ちょっと読んでもらえるか」  どうやら竹下さんは自分の文章にあまり満足しておらず、何度も宣伝させてもらって悪いけど、「文章で伝えるときいちばん大切なものは、感情である(アスコム社)」という文章術の本を出版した僕にその出来栄えを見てほしいようだった。 「いい線いってると思うけどさ、いまいち興奮せんのよね。やっぱ官能小説は興奮してなんぼでしょ」  そうして読ませてもらった竹下さん作の官能小説はなかなかすごいものがあった。 「メビウスの輪」
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竹下の力作「メビウスの輪」の読み応え
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テキストサイト管理人。初代管理サイト「Numeri」で発表した悪質業者や援助交際女子高生と対峙する「対決シリーズ」が話題となり、以降さまざまな媒体に寄稿。発表する記事のほとんどで伝説的バズを生み出す。本連載と同名の処女作「おっさんは二度死ぬ」(扶桑社刊)が発売中。3月28日に、自身の文章術を綴った「文章で伝えるときにいちばん大切なものは、感情である 読みたくなる文章の書き方29の掟(アスコム)」が発売。twitter(@pato_numeri

pato「おっさんは二度死ぬ」

“全てのおっさんは、いつか二度死ぬ。それは避けようのないことだ"――


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