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おっさんがネット上の美人に騙される理由は「特にない」が正解なのかもしれない

ossan1-1おっさんは二度死ぬ 2nd season

おっさんたちは騙されたくない

結婚詐欺にロマンス詐欺に恋人商法、美人局、最近では「いただき女子」など、色恋を利用しておっさんどもを騙し、金銭を騙し取ろうという動きは、いつの時代も活発なものだ。 おっさんはそれだけ騙しやすいものだ。特に悪意のある女性からみたらチョロいと思われるくらいカモなのだろうけど、おっさんだってなにも騙されたくて騙されているわけではない。 どこかの特集記事によると、こういった異性からの色恋を利用した詐欺に騙されやすいのは圧倒的に中年男性、それも少し真面目で優しい人が騙されやすいらしい。悪いことに、そういった結婚適齢期を過ぎたおっさんであれば、真面目なのでそこそこの貯金があったりする。だから絶好のカモになるわけだ。 とかく騙されやすいおっさん、けれども我々おっさんも自衛をしないわけではない。最良の自衛手段とはなんだろうか。それは、そういった異性関係の何かが生じた場合、同じおっさんたちでああでもない、こうでもないと議論することだ。 僕の周囲に存在する、大なり小なり、なんらかの詐欺に騙されたおっさんどもを見ると、そういった関係を誰にも話すことなく、一人で抱え込んでひっそりと騙されている。後から考えると明らかにおかしい部分があって、明確に騙されているのに、抱え込んでいるとそれが見えない。とんでもない杜撰なものに引っかかっていたりもする。 そこで、別のおっさんから「おまえ、それ騙されてるよ」と指摘してあげることが大切なのだ。特に色恋が関わると内側と外側では見えているものが違う。 そういった意味で、僕のおっさん仲間においては、異性に騙されそうなおっさんどもを集めて定期的に飲み会を開催し、いまこういう女性とコンタクトをとっている、などと報告し合う会が存在する。我々はそれを「円卓会議」と呼んでいて、そこで「それは絶対に騙されてるよ」「やっぱそうか」と現状を確認し合うのである。

僕の周囲の“騙されるおっさん”たち

その日も円卓会議の飲み会が開催され、最初はやれ「競馬で負けた」「TikTokで女が踊り狂っている」などと他愛もない会話に終始していたものの、そのうちの一人が口火を切ることで本格的な円卓会議が開始となった。 「実はさ、さいきんネットで知り合った女子大生とLINEしてて」 「騙されてるな」 「相手が女子大生の時点で騙されてる」 「俺が女子大生だったらお前みたいなおっさんとはLINEしない」 円卓会議における判定はかなり厳しい。相手が女子大生という時点でほぼ騙され認定となる。「女子大生」はキラーワードに近く、出てきた時点で騙され認定となる。 「飲み屋で知り合った20代後半のシングルマザーと飲みに行く」 別のおっさんが切り出す。行きつけの店で新たに常連となった女性と飲みに行くことになったらしい。店のマスターがけっこうアシストしてくれて、やっとそこまでこぎつけたらしい。 「騙されてるな」 「相手が20代の時点で騙されている」 「俺が20代だったらお前みたいなおっさんとは飲みに行かない」 円卓会議の判定はとにかく厳しい。「20代女性」も準キラーワードであり、出てきた時点でほぼ騙され認定となる。とかく厳しいのは「とにかく騙されたくない」という大いなる意思のあらわれである。被捕食者たる小動物が、警戒心が強く臆病なのと同じ理論だ。
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全てに猜疑心を抱く円卓会議
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テキストサイト管理人。初代管理サイト「Numeri」で発表した悪質業者や援助交際女子高生と対峙する「対決シリーズ」が話題となり、以降さまざまな媒体に寄稿。発表する記事のほとんどで伝説的バズを生み出す。本連載と同名の処女作「おっさんは二度死ぬ」(扶桑社刊)が発売中。3月28日に、自身の文章術を綴った「文章で伝えるときにいちばん大切なものは、感情である 読みたくなる文章の書き方29の掟(アスコム)」が発売。twitter(@pato_numeri

pato「おっさんは二度死ぬ」

“全てのおっさんは、いつか二度死ぬ。それは避けようのないことだ"――


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