「飛行機の機内エンタメ」“クラス別に違い”はある?JALの最新鋭機エアバスでは
機内エンターテインメント(IFE:インフライト エンターテインメント)とは、航空機の座席などに設置されたディスプレイや、オーディオ機器を通じて搭乗旅客に提供されるエンターテインメントサービスのことである。
世界のIFEシステムの歴史は1970年代に機材が大型化してワイドボディになり、多くの乗客が搭乗するようになってからのことだ。
当初は、フライト中に上映される映画が主なコンテンツであり、乗客はコンパートメント前方壁に設置されたスクリーンで映像を楽しむことができた。この初期のシステムは限られた機能しか持たず、全ての乗客が同じコンテンツを同時に視聴する形式だった。
「乗りものニュース」の記事(2024.05.06)によると、ANAの機内エンタメは1978年にロッキード「トライスター」機でプロジェクターを使った放映の「スカイサービス」が最初だと言う。筆者には音声を空気伝搬する青いプラスティックの管が付いたヘッドセットを使用した搭乗の記憶がある。JALに関してはどうか。同社広報に確認してみると、正確なデータが残されておらず「1970年代初頭に機内で映画上映をしたのが始まりです」と回答を寄せた。
両社ともに、当時のシステムは同様で次のようものだ。機内では中央部天井部の手荷物収納棚下に設置された赤、青、黄の3つのレンズを持つプロジェクターから発せられる光を前方のスクリーンに投影していたのだ。
使用しないときのスクリーンは折りたたんだり、巻き上げたりしていた。機内アナウンスで「お食事の後、免税品の販売を行ったあとに映画〇〇を放映致します」などと案内があった。全員が同じ番組を見ていたのだ。そのような状態であるので、通路に人が通るとスクリーンがさえぎられたり、映画は止められないために自身が手洗いに立つとストーリーはどんどん進んだりしてしまう不便さがあった。
このシステムは、乗客の快適性を向上させ、フライト中の時間を有意義に過ごせるようにするために開発されている。IFEの誕生から未来に至るまでの進化と、その背後にあるエアラインのニーズについて探っていきたい。
機内エンターテインメントシステムの誕生
日系エアラインの歴史
航空会社勤務歴を活かし、雑誌やWEBメディアで航空や旅に関する連載コラムを執筆する航空ジャーナリスト。YouTube チャンネル「そらオヤジ組」のほか、ブログ「Avian Wing」も更新中。大阪府出身で航空ジャーナリスト協会に所属する。Facebook avian.wing instagram@kitajimaavianwing
記事一覧へ
記事一覧へ
この記者は、他にもこんな記事を書いています
ハッシュタグ