更新日:2024年05月04日 10:06
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「くら寿司銀座店」“露骨すぎる日本要素”から読み取れる、「日本人を相手にしていない」という狙い

全国に数多くあるテーマパーク。今もなお新しいテーマパークが生まれては人々を楽しませ続けている。しかし、そんなテーマパークには、あまり語られることのない側面が存在する。そんな、「テーマパークのB面」をここでは語っていこう。 4月24日、銀座にある商業ビル「マロニエゲート銀座2」に「くら寿司」が誕生した。銀座には初出店となる。これは、くら寿司の「グローバル旗艦店」に位置付けられる店舗で、インバウンド観光客が多い銀座という立地を活かし、外国人観光客向けのメニューや内装を取り入れた店舗である。 この店舗を手がけたクリエイティブ・ディレクターの佐藤可士和氏は「食をテーマにしたエンターテインメント」施設を目指しているとし、まさに、ここが「食のテーマパーク」的な施設であることを思わせる。 今回は、実際に足を運んだ筆者が感じたことを紹介したうえ、この店舗の狙いについても分析してみたい。
くら寿司 銀座

くら寿司「グローバル旗艦店 銀座」

外国人が好きそうな「江戸時代」を基調にした店内

くら寿司 銀座

歌川広重の浮世絵が

まず店内に入って驚くのは、その店内壁画だ。歌川広重の浮世絵が大きく描かれており、その横を通って、受付へと進む。この店舗は、広重の浮世絵を元にしているらしく、まさに「江戸時代」が再現された空間構成をしているといえる。いかにも外国人が好きそうな空間である。 受付をして、それぞれのテーブルに行く。既存のくら寿司と異なるのは、それぞれのテーブルがカーテンのようなもので仕切られ、半個室になっていることだ。誰の目も気にすることなく、ゆっくりくつろげるだろうから、これも観光客など、ゆったりとした時間を過ごしたい人にぴったりといえる。
くら寿司 銀座

店舗限定メニューの「くら小江戸」

メニューは、基本的には他の「くら寿司」と同じで、人気の「びっくらぽん」もできる。ただ、違うのは店舗限定メニューがあること。例えば、「くら小江戸」というメニューには、特別仕様の寿司や天ぷら、みたらし団子などがある。受け取りに行くのは、江戸時代の風景が再現された屋台だ。
くら寿司 銀座

“江戸感”が強い内装

筆者もここぞとばかりに「真あじ天盛り」(600円)を注文してみた。注文して10分ぐらいすると、タブレットに「準備完了」という文字が。テーブルから立ち、屋台があるエリアへと向かう。

まさに「食のテーマパーク」といった様相

くら寿司 銀座

「真あじ天盛り」(600円)

「テーマパーク」的なのは、まさにこの部分である。三つの屋台の前には、いかにも江戸時代らしい柳の木のレプリカがあり、その周りでは実際に屋台で寿司を握ったり、天ぷらを揚げる人々が。 本来、回転寿司は、諸々の面倒くささ(店主と話したり、値段がどうなるのかそわそわしたり)を取り除いた施設であるはずなのに、あえて自分自身で屋台まで商品を取りに行く、というのが面白い。これはもちろん、外国人観光客向けに「日本風の体験」をしてもらうための取り組みだ。まるで江戸時代の屋台にでも来たかのような体験ができるということだろう。 実際、私も屋台に料理を取りに行くときはわくわくした。屋台があるコーナーはそこだけがちょっと暗くなっていて(たぶん、夜をイメージしているのだと思う)、それも高揚感を覚える理由になっていると思う。
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“露骨な日本要素”を歓迎する外国人の存在
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ライター・作家。チェーンストアやテーマパークをテーマにした原稿を数多く執筆。一見平板に見える現代の都市空間について、独自の切り口で語る。「東洋経済オンライン」などで執筆中、文芸誌などにも多く寄稿をおこなう。著書に『ドンキにはなぜペンギンがいるのか』(集英社)『ブックオフから考える』(青弓社)
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