更新日:2024年08月08日 13:02
お金

“ニセコ化”するディズニーリゾート。待ち受ける「金持ちしか楽しめない」未来

“量”より“質”に舵を切ったオリエンタルランド

東京ディズニーリゾートを運営するオリエンタルランドも、こうした高級化路線を否定しない。コロナ禍での大幅な来場客の減少を経て、“量”を入れて収益を取る方向から、それぞれのゲストの体験の“質”を深める方向に転換することを公式に発表している。 コロナ前のパークでは、人気アトラクションともなれば何時間待ちにもなることは日常茶飯事。そんな状態からの脱却として、来場者を限定し、それぞれのゲストの体験の“質”を深める方向に舵を切ったのだ。裏返していえば、廉価で多くの客を入れる方向から、少数精鋭の客により多くの消費をしてもらおう、というわけだ。 こうした「客の選択」には、もう一つの目的もあったと思われる。 いわゆる「Dオタの排除」だ。“Dオタ”とは、ディズニーランドオタクの略称で、その名の通り、ディズニーリゾートを愛し、そこに深くコミットしている人々のことだ。

なぜ「Dオタの排除」が実行されたのか

本来なら、こうしたコア層は歓迎されるべき。ただ、以前のディズニーランドではDオタたちによる、過剰な「マナー違反の晒しあげ」などが問題になったり、あるいは一度買えば年中行き放題の「年パス」で繰り返しふらっとインパ(インパーク、ディズニーリゾートの中に入ること)する人々が多かった。こうした行動は、一般客を遠ざけ、また繰り返し入園することでパーク側の売り上げが落ちてしまう。 しかし、コロナ禍を期に年パスの制度は無くなり、それと相前後するように、ディズニーは入園客の量から質へと転換を図った。今では「運営はDオタの方を向いてくれない」といった言葉もまことしやかに語られている。とはいえ、パークとしても、運営上仕方のない政策だったのかもしれない。 恐らく、「ディズニー高級化」の背景には、客層の“選択”があったと見て良いのだ。
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ディズニーリゾートは“ニセコ化”している
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ライター・作家。チェーンストアやテーマパークをテーマにした原稿を数多く執筆。一見平板に見える現代の都市空間について、独自の切り口で語る。「東洋経済オンライン」などで執筆中、文芸誌などにも多く寄稿をおこなう。著書に『ドンキにはなぜペンギンがいるのか』(集英社)『ブックオフから考える』(青弓社)
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