“町中華”の閉店が相次ぐ一方で、「餃子の王将」「バーミヤン」中華チェーンが好調のワケ
「町中華」と呼ばれる地域に根ざした大衆的な中華料理店のブームは今もなお続いている。とはいえ、それは一部の店舗の話で、全体としての個人店の経営状況は非常に厳しいものがある。
一方で、チェーン店は標準的な料理を中心に幅広い客層に支持される店づくりになっている。ターゲット層をボリュームゾーンに設定し、調理も個人の技術や経験に依存せず、誰でも可能なように組織的対応をしており、その安心感を売りにしている。セントラルキッチンも設けて現場の負担を軽減させているのが特徴だ。
今回は、ラーメンチェーン業界で売上・店舗数ともに1位の「餃子の王将(株式会社王将フ-ドサ-ビス)」と、外食業界売上3位のすかいらーく傘下で勢いを増す「バーミヤン」を取り上げたい。
地域で存在感を増す町中華は、個性豊かで独自の強みを持っており、店を支える家族と常連さんで一体感が醸成されている。中華料理店は店舗数5万5000店舗、市場規模は1兆1629億円で内訳は中華料理5686億円、ラーメン店5560億円、その他が382億円となっており人気の業種である(全国中華料理生活衛生同業組合、2018年)。
個人経営の味は店主に依存しており、独自のメニュー構成など、オンリーワンの料理に客はファンとなるもの。最近は、町中華のオムライスが話題だ。だが、バラツキもあり、当たり外れがあるのも町中華の面白みだ。
一方で、中華料理店の約7割が個人経営であり、店主の高齢化の進展、後継者不足、物価高騰、人手不足などの課題を抱えて、廃業する店が増えている。やはりチェーン店のように組織的対応できない店は、事業の継続が難しそうで、今後も廃業が増えることが懸念されている。
ラーメンチェーンで売上1位でもある餃子の王将は、1967年創業でブランド認知度が高く、売上は昨年1000億円を突破した。一方、バーミヤンは1986年に開業したすかいらーく傘下の中華チェーンで中核ブランドのガストに次ぐ店舗数を誇っている。
餃子の王将が732店舗(FC190店舗、2023年3月時点)、バーミヤンが359店舗(2024年7月時点)と、ほぼダブルスコアとなっている。しかし、餃子の王将は一人客が多く、小型店においてはカウンターだ。バーミヤンは大型店の標準設計となっており、卓数と席数は多めに確保するなどゆったりとしていて単純には比べられないようだ。
両社とも、メインターゲットはファミリー客である。餃子の王将は、少量サイズ(ジャストメニュー)を酒のツマミにビールを飲み、仕上げに麺飯類で堪能する一人客も多いようだ。バーミヤンはほとんどがテーブル席で、落ち着いた雰囲気の中で家族客やグループ客(女子会など)がリーズナブルな価格の中華料理を食べられるように設計されている。
人材不足で廃業する個人店が増加
チェーン店でありながら異なる特徴
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餃子の王将(筆者撮影)
飲食店支援専門の中小企業診断士・行政書士。自らも調理師免許を有し、過去には飲食店を経営。現在は中村コンサルタント事務所代表として後継者問題など、事業承継対策にも力を入れている。X(旧ツイッター):@kaisyasindan
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