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裏の人間から重宝される高齢犯罪者

高齢化率は22.8%を記録し、高齢化社会を突き進む日本。だが、その人口比以上の伸び率で増え続けているのが高齢犯罪者の存在だ。彼らはなぜ安易に犯罪に手を染め、「闇老人」と化してしまったのか。取材を進めていくと、その背景に潜む意外な事実があった。高齢者を犯罪者に仕立て上げる、驚愕のメカニズムが今、明らかに!

【高齢者が高齢者を食い物にする新たな犯罪の構図が存在!】

 板前一筋45年、64歳までマジメに勤めていた回転寿司チェーンを退職したF(67歳)の今の日課は、各地のスーパー銭湯を巡ることだ。

 とはいっても長年の疲れを湯で癒すためではなく、再雇用先の”仕事”として通っている。

「スパ(スーパー銭湯)というのは、暇をもてあました老人の寄り合い場所だからさ。こんな話も聞いてくれるんだよ」(F)

 と言って、彼が見せてくれたのは、「北京と日本をつなぐ」と書かれたパンフレットだ。

 実はこれ、いわゆる「未公開株詐欺」の販促ツールなのだという。内容は、北京に日系の食品企業の現地法人を設立するに当たり、匿名投資組合に一口10万円の投資を募るというもの。もちろん、架空の投資話である。

「俺は、その投資詐欺の営業員。1か月で軽く80万円にはなるかな。騙された老人が払ったカネの半分が俺の取り分。包丁を握っているよりも歩合はいいよね」(同)

 罪悪感は?の問いに、彼は「相手は50万円や100万円は痛くもないような人たちだから」と答え、軽く流した。

 これまで犯罪とは全く無縁な人生を送っていた、Fのような高齢者が犯罪に手を染め、「闇老人」と化すケースは決して少なくない。

◆裏の人間から重宝される高齢犯罪者

 高齢犯罪者の増加は、’00年代に入ってから頻繁に指摘されてきた。’09年の警察庁発表によれば、高齢者の刑法犯総数は約4万8000人。’00年の約1万8000人と比較すれば約2.7倍に増えている。今までの高齢犯罪者といえば、乏しい年金生活と将来への不安などから犯す万引や、介護疲れからの配偶者殺害など、切ない高齢化社会の背景が語られることが多かったのだが……。

「その構図が一変しつつある。今はノリノリで俺らの下で働いているよ」とは、元組員で現在はフリーの裏稼業人であるW(34歳)だ。

「これまで不良が老人を使うって言ったら、それこそホームレスに保険証をつくらせたり、博打場を裸足で歩いているアル中のジジイを”生活保護ハウス”に突っ込んだりするぐらいだった。でも、最近は違う。詐欺や組織的な窃盗などで『有能な高齢者人材』の雇用に注目が集まってるんだよ」

 若い人間が取り仕切る裏業界には、専門的な表の知識や技術を持った人材が不足していた。それを補うのが高齢者人材というわけだ。「この不況でカタギできちんとした仕事で勤め上げてきた人が、リストラや借金、熟年離婚などいろいろな理由で食っていけなくなって、路頭に迷っている。そんな彼らをスカウトし、詐欺などの要員として使う。彼らは不良の業界にシガラミもないから使いやすいんだよ。それに、高齢者を雇う利点として、老人を騙すのに便利というのもある。今の日本で一番カネ持っているのは、やっぱり老人だからね。一度、割り切らせてしまえば、老人は若い不良よりイケイケ。捕まるなら捕まってもいいって思っているし、カネ持ちの老人を逆恨みしていることが多いから、罪悪感も少ない」(W)

 例えば、声をかけられた一人の老人がサラリーマン時代に作った中小企業経営者の名刺コレクション500枚を犯罪集団に販売。これを利用した詐欺師により、2億円の被害が出たという事件がある。「同様に家族構成のわかるリストがあれば、振り込め詐欺の効率化にも期待ができるだろ?」(同)

◆刑法犯の年齢別犯罪率の推移

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警察庁発表の統計より算出。犯罪率は人口10万人当たりの検挙人員のこととし、
’89年を100とした伸び率をグラフ化したもの。ほかの世代に比べて、65歳以上の
犯罪率の増加が異様に目立つ


― 犯罪に手を染める[闇老人]が急増中【1】 ―





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