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<漫画>「幽霊が一切出てこない話」に大きな反響が。“ホラーが苦手”な作者がホラー漫画を描き始めたワケ

生きている人間の心と、死んでしまった人間の心が絡み合う作品に

――百物語をテーマにしたきっかけを教えてください。 的野アンジ:読み切り作品ばかりを描いていたので、いざ連載を意識したときに、オムニバス形式だったら話を展開させやすいのでは? と思ったのがきっかけですね。ただ、ホラー漫画とオムニバスをかけ合わせる場合、その作品の顔になるような「語り手」が必要だと感じました。すべての要素を備えているものを考えたときに、キャラクターが一つずつ恐怖を語っていく「百物語」がマッチしていることに気付いたんです。 ――『僕が死ぬだけの百物語』は、幽霊の怖さだけでなく、人間の怖さを感じるストーリー展開が魅力です。作品には、どのようなこだわりがあるのでしょうか? 的野アンジ:ただ怖いだけではなく、「生きている人間の心と、死んでしまった人間の心」が絡み合う話を描くことを意識しています。ホラーを描くにあたり「幽霊って、私たちにとってどういう存在なんだろう」と深く考えました。そのなかで、もともとは幽霊も人間だったことに立ち返れたんです。幽霊を人間として捉える考え方は、現在の恐怖を身近に感じてもらえるようなストーリー展開にもつながっています。

「幽霊が一切出てこない話」に大きな反響が

――読者からの反響が良かったものはありますか? 的野アンジ:第八夜の「喧嘩」は、幽霊が一切出てこない話にもかかわらず、大きな反響があった作品です。はじめは、セオリー通り幽霊と人間が絡む話にしていたのですが、構想と噛み合わずうまく話にできなかったんですよね。そこで、思い切って人と人の話に変えてみたら、オチ自体もより磨きのかかったストーリーが完成しました。とはいえ、「感動した」「友情を感じた」などの反響が多かったのには正直驚きました。私のなかでは、結果的にかなり残酷な話に仕上がったと感じていたので……。
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「前代未聞」だからこそ得られるライブ感も楽しんでほしい
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エンタメ好きなフリーライター。クリエイターやアイドルなどのプロモーション取材を手掛ける。ワンドリンク制のライブが好き。
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