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月収30万円以上なのに、3年間ネットカフェを転々とし続ける58歳男性。風呂にも半年入らず…“ゴミ屋敷”さながらの部屋で生活する理由

社会との繫がりがネカフェ生活長期化を防ぐ

ネカフェ難民問題が可視化されて間もない’07年、その生活を体験したルポ『ネットカフェ難民』を執筆した編集者の川崎昌平氏。彼は近年の状況を次のように分析する。 「当時20代だった当事者、つまり就職氷河期世代がそのまま現在までスライドしてきています。若年層や女性にも増加していますが、依然として40代以上の男性が過半数を占めているのが現状です」 ネカフェ生活長期化の要因も、貧困を基軸に一筋縄ではいかない。首都圏への一極集中化により、職業や住居を持てない人が増加しているのも原因の一つだ。そんななか、川崎氏はネカフェ難民の再定義が必要と説く。 「ホームレスの定義が狭すぎるために、実態を反映できていない部分があると思います。確かにネカフェは風雨をしのげるし、大きな不便はありませんが、心身ともに荒廃が進むことが多く、永続的な貧困対策になりえません」 そんななか、川崎氏はネットカフェへの住民登録を推進することで、逆に長期化を抑制できると提言する。 「賛否両論ありますが、住民登録をすることにより、行政のケアが行き届きやすくなり、社会との繋がりが持てるようになります。日本人は個人として生きることを強調されすぎており、それが社会的孤立を招く一因。地域と繋がり、集団の中に自分を位置づけ、他者と協力して生きることが脱却の第一歩になる。特にネカフェ難民の高齢化が進むなかでは急務であると思います」 社会参加のきっかけが鍵になるのかもしれない。 【作家・編集者 川崎昌平氏】 京都芸術大学通信教育部専任教員。東京工業大学、昭和女子大学非常勤講師。『ネットカフェ難民』(幻冬舎)など著書多数 取材・文/週刊SPA!編集部
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