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半グレの恐喝、薬物や賄賂。裏社会の取材で学んだ“生きるヒント”とは

「お金を持つことで生まれる不幸もある」

草下シンヤ

「高級アクセサリー? 身につけませんね。重いじゃないですか」と笑う

裏社会の取材では、脅しだけでなく、甘い話もありそうだ。賄賂など、お金をもらえるなどの誘惑はあったのだろうか。 「ありましたが、絶対に受けませんでした。変に借りを作ると、後になってひどい目にあうと思っているので。過去に500万円くらいの高級時計をくれると言ってきた人もいましたが、すぐ断りました。 お金って、怖いですよ。それで命を落とした人間がいっぱいいます。お金が欲しくておかしくなる人も、持っておかしくなる人も、たくさん見てきました」 お金を持っておかしくなる、とは具体的にはどういうことか。 「お金を持つと『失いたくない』という気持ちから、ケチになりますよね。騙しにくる人が多いので、他人に猜疑心もわくようになります。さらに『セキュリティは大丈夫か?』という不安にも襲われてしまう。お金を持つと、自由になるどころか、逆に心配ごとが増える人が多い印象があります。 もちろん、お金がなければ、不幸を避けられなかったり、不自由したりします。でも、『何もなければ狙われない』という安心感はありますよね。お金を持つことで生まれる不幸もあることは、知っておいた方がいいですよ」 実際に草下さんには、資産額や年収の目標がないのだという。 「僕はお金に執着がないんです。お金にとらわれない方がいいですよ。いくら稼ぐとか貯めたとか、人生はそれだけじゃない。僕がお金を使うとしたら、飲み会くらいです。僕にお金がなくなったら、みんなで自腹で飲むだけですし、それで飲みたくないと言うんだったら、そもそもタダ酒を飲みたいから僕と付き合っていたってだけのことですよね。 キャバクラに行くのも先輩に連れていかれるのが年に一度あるかないかですね。仮に行くことがあってもキャストと連絡先を交換することはありません。自分からは『ボッタクリキャッチについていってみよう』という企画で行ったくらいで、まず行きません。知人からキャバクラに誘われても『ごめんね、俺は行かないんだ。みんなで行ってきて』と言っています(笑)」

幸せとは「日常の中にある、安心と信頼だ」

ここまで達観している人間は、なかなかいないだろう。 「欲望って、“瞬間最大風速”を求めるんです。例えば、薬物は“幸せの前借り”と言われています。やってるときは楽しいけど、薬が抜けた後はメンタル的にしんどいので。若い頃はすぐにリカバリーできるけど、年を取ってくると辛くなってきます。『今までの幸せを取り戻そう』と、薬の量を増やしてドツボにはまっていく……。 僕も若い頃は『もっと楽しいもの』を求めて、薬物のような欲望ばかり求めていました。でも、20代前半ぐらいで終わりましたね」 草下さんは「幸せ」とは何なのか、気づいたことが大きいという。 「幸せとは、激しくて鋭い“欲望”を叶え続けることじゃない。実は日常の中にある、安心と信頼なんです」 そして、若い頃にさんざん欲望に触れてきた経験から「学生時代に遊びたくても遊べなかった人は、注意した方がいい」と警鐘を鳴らす。 「そういう人の中には、40歳や50歳になって時間やお金に余裕ができて、若い頃に得られなかった“欲望”を取り戻そうとして、おかしくなる人がいるんです。本当なら、年齢に合わせて欲望の方向を変えていかないといけないのに……。 だから、若い頃に遊んでおいた方がいいですよ。欲望は年齢とともに変化していきますが、年相応の欲望に向き合って、うまくバランスをとる練習をしていきましょう。そうすれば、無理なく死んでいけるんじゃないかな」
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「誰かの生きる希望になれるかも」
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ライター、作家。主に金融や恋愛について執筆。メガバンク法人営業・経済メディアで働いた経験から、金融女子の観点で記事を寄稿。趣味はサウナ。X(旧Twitter):@yel_ranunculus、note:@happymother

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ヒットを生む技術 小規模出版社の編集者が“大当たり”を連発できる理由 ヒットを生む技術 小規模出版社の編集者が“大当たり”を連発できる理由

本書は、小規模出版社でありながら尖った企画の「ヤバい本」でベストセラーを連発する異色の編集者/作家・草下シンヤ氏の「ヒットを生む技術」を網羅したビジネス書である。企画の立て方から、編集の方法、広告・販売のノウハウ、SNS戦略など、「本が売れない時代」の出版業界で必要なことが詳細かつ具体的に記されている。

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