ここを頑張れたら、未来が変わるはず!
――ソロ活動に加えて、声優として出演作も増え、i☆Risのツアーなど、特に忙しい1年だったと思いますが、しんどいときに自分を奮い立たせるスイッチはあるのでしょうか。
ありがたいことに、今年は忙しすぎてあんまりいろいろ覚えてない……。ただ、ぜんぜん奮い立ってない日もあるんですよ。みなさんの目に触れる場面では、くじけてる姿を見せることはないけど、ひとりでくじけてることはあります。
スタッフさんやファンのみなさん、家族が支えてくれて、なんとか頑張れてるだけ。本当に恵まれてると思います。少し前にも私が家にいないタイミングに、母が掃除をしてご飯をつくって帰ってくれて、私がもう無理……ってなってるときはマネージャーさんが飲み物を差し入れてくれて。i☆Risのリハーサルとかでも、ごめん今日は本当に元気出せないって日はほかのメンバーが頑張ってくれる。
ダンスリハとか半分寝たままやって、本当に誰とも目が合わない日もあります。鏡とダンスの先生と自分しか目に入らない、みたいな。でもそこでみんなが逆にほっといてくれる優しさがしみますね。
――特に忙しかった時期はいつごろですか?
う〜ん。夏にフェスとツアーとリリース周りの活動、SoLaMi♡SMILE(by TVアニメ『プリパラ』)のライブ、あとまだ世には出せないアフレコの準備……。そのあたりがかぶったときは大変だったかもしれないですね。
特にこの業界は発表できるのがすごく先の仕事が多くて、来年放送の『黒岩メダカに私の可愛いが通じない』で演じるキャラクターが関西弁なので、その練習もなかなか大変で。特に私はセリフ覚えを安心できるまでやりたい派で時間がかかるけど、今は効率より確実性を大事にしていこうと思っています。
夜の仕事が終わって家に帰ったあとも、眠い目をこすってセリフの練習をして、お風呂に入って寝ようとしたらもう朝……みたいな日もけっこうありました。
――ここ最近のお仕事の質が、今後のキャリアにも大きく影響する予感があるんですね。
そうですね。ここを頑張れたら、未来が変わるはず!って気持ちでなんとか頑張ってます。もちろん今までのお仕事に手を抜いたことはないけど、さらに質を上げていきたいです。
――30歳という節目を迎えるタイミングで、意識することはありますか?
振り返ってみると、今年は本当にいろいろなことをやらせてもらえてありがたいって実感する1年でした。過去にはお客さんが数十人しかいないライブも経験したけど、今ではAbemaで大きな番組のMCを担当できて、アニメの作品にも昔より多く出られるようになって……。
いろいろな経験を経て30代を迎えられるのは、自分が持てるだけの武器や道具を持って、背中のリュックはぱんぱんだなって感じです。この武器を持って、30代が始まるのかってわくわく、うきうきしてます。
――これから、少しレベルの高い敵とも戦えそう、という感じでしょうか。
そうそう、今ならあのときには勝てなかったボスを倒しにいけちゃうかも、みたいな強い気持ちで臨めそうです。
――ちなみに勝てなかったボスとは、具体的にはどんな相手でしょうか。
何回受けても落ち続けてるオーディションとか、仕事現場で私のことを鼻で笑ったスタッフさんを見返したいとか(笑)。うまく話せなくてすべっちゃった番組では、今ならもっとうまく話せるかも、とか。
――逆に30歳までにやり残したことはありますか?
じつはスマホで30歳までにやりたいことのリストをメモしてあって……。「富士山に登りたい」「ホームパーティーをやりたい」とか書いてますね。『ゴシップガール』にハマってたんだろうな、きっと。このあたりはもうやらなくてもいいかな(笑)。アイドルは直筆の文字を書く機会があるのでペン習字と、スカイダイビングはまだやりたいと思ってます。
あと「もう一度武道館に立ちたい」って項目もあるんですけど、もっと大きなぴあアリーナMMでのライブがあったので、叶ったってことにします!
――周年ライブお疲れ様でした! ソロツアーも頑張ってください!
【芹澤 優プロフィール】
せりざわゆう●1994年、東京都生まれ。声優アイドルユニットi☆Risのメンバー。「MFゴースト 2nd Season」のOPテーマ「ROCK ME KISS ME feat. MOTSU」をリリース。全国6都市を回る芹澤 優 5thソロツアー 「Yu Serizawa 5th Live Tour 2024 ~My Room Fantasy~」が開催中
<取材・文/森ユースケ 撮影/尾藤能暢>