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イトーヨーカドーを見捨てられなかった「セブン&アイ」が窮地に…「日本を代表する企業」が海外勢に狙われる理由

祖業のヨーカドーは凋落。ピーク時から半減

 2005年に現在のホールディングス体制になった同社ですが、コンビニ事業が好調な一方、祖業のヨーカドーは苦戦しました。16年2月期末時点のピークである182店舗から減少に転じ、店舗を次々に閉鎖、今年2月には北海道・東北・信越からの撤退を発表し、首都圏に注力する方針を決めました。現在では約100店舗を運営し、92店舗まで縮小する予定です。  ダイエーなどの他社も同様ですが、GMSが勢いを失ったのはユニクロやしまむらなどの専門店が台頭し、上層階で服が売れなくなったためです。95年度のピーク時に年間4,000億円以上もあったヨーカドーの衣料品売上高は、現在では3分の1以下にまで縮小しています。2005年にはイオンに倣う形で郊外型モール「アリオ」を開業しましたが、現在の展開は19店舗に留まっています。  なお、セブン&アイグループは百貨店事業にも参入しました。自社なら再生できると判断し、経営難に陥っていた西武・そごうを2006年に傘下に置いたのです。しかし結局は再生できず、昨年に百貨店事業を米ファンドへ売却しています。

近年は好成績も、カナダ企業が目をつける

 冒頭の通り、国内外で8万店以上を展開し、現在では店舗数、事業規模ともに海外コンビニ事業が主力です。21年に買収した米国のガソリンスタンド併設型コンビニ「スピードウェイ」が、原油価格高騰の影響を受けて大幅な増収となり、近年の業績は好調に推移しています。21年2月期から24年2月期の業績は次の通りです。 営業収益(全社):5兆7,667億円→8兆7,498億円→11兆8,113億円→11兆4,718億円 営業収益(海外コンビニ事業):2兆2,534億円→5兆1,943億円→8兆8,462億円→8兆5,169億円  しかしながら、今年8月にセブン&アイHDはカナダ企業「アリマンタシォン・クシュタール」から5.7兆円規模の買収提案を受けました。同社は北米を中心にコンビニを約1.7万店運営する企業です。店舗数はセブンより圧倒的に少ないですが、ガソリンスタンド併設のため燃料の売上がメインであり、売上高は10兆円台と同等の規模です。時価総額ではセブンの6.7兆円を2兆円も上回ります。  セブン&アイ側は一度、反対したもののクシュタール側は7兆円に額を引き上げて再度買収提案をしました。その後10月にセブンはヨーカドーを含む「非コンビニ」事業の撤退を発表しましたが、不採算事業売却による株価上昇を期待した買収防衛策とみられています。
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ファミマを運営する伊藤忠商事が出資
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経済・テクノロジー・不動産分野のライター。企業分析や都市開発の記事を執筆する。取得した資格は簿記、ファイナンシャルプランナー。趣味は経済関係の本や決算書を読むこと。 Twitter:@shin_yamaguchi_

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