12月6日、俳優で歌手の中山美穂さんが亡くなった。享年54歳。ちょい色黒で目元がキツイ、エキゾチック系の美人であった。まさしく、美人薄命。この頃のアイドルには、確実に“選ばれて出てきた感”があった。
80年代のアイドルのなかでは、SSランクの松田聖子や中森明菜、小泉今日子に次ぐポジションだったと言っていい。『毎度おさわがせします』(TBS系)、『ママはアイドル!』(TBS系)、『卒業』(TBS系)、『すてきな片想い』(フジテレビ系)……と、主演した名作ドラマは枚挙にいとまがない。あの頃、中山美穂という時代は確実にあった。
また、楽曲にも恵まれていた印象がある。「色・ホワイトブレンド」「ただ泣きたくなるの」「世界中の誰よりきっと」「You’re My Only Shinin’ Star」「遠い街の何処かで…」など、同年代のアイドルのなかでも群を抜いて名曲揃いだ。
振り返ると、彼女は「アイドル」から「俳優・歌手」へうまく移行できた人だった。その点では、松田聖子や中森明菜に勝っていたように思う。
できることなら、中山さんと木村拓哉のダブル主演で制作されたドラマ『眠れる森』(フジテレビ系)を追悼として再放送してほしい。正直、今放送されているドラマより視聴率は取れると思う。同作以降、似たようなミステリードラマは数多く作られたが、どれも『眠れる森』に勝っていない。まごうことなき名作である。