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【追悼】「昭和が終わった気がする年」2024年に亡くなった著名人・有名人…思い出とともに振り返る

【2月】山本陽子さん

 2月20日、日本を代表する女優の山本陽子さんが亡くなった。享年81歳。山本さんといえば「両国予備校」「山本海苔店」「コーミソース」のCMを思い浮かべる人が多いだろう。ドラマでいえば、『黒革の手帖』(テレビ朝日系)の原口元子役が出色。2004年には米倉涼子が元子を演じたが、初代は山本さんなのだ。 『ザ・ハングマンV』(テレビ朝日系)で演じたパピヨン役も印象深い。普段は専業主婦だが、裏の顔は犯罪者たちを処刑するハングマンの女性リーダー。そして、そんなパピヨンをサポートする武闘派サブリーダー・ファルコンを演じたのは若き日の佐藤浩市で、さまざまな武器を開発する頭脳派のエジソンを演じたのは火野正平だった。  また、“車好き”としても有名だった山本さん。赤のポルシェ911Sの日本初の納車先は、なにを隠そう彼女であった。「緑の中を走り抜けてく真っ赤なポルシェ」という歌詞が登場する山口百恵の代表曲『プレイバックPart2』のモデルは、もしかしたら山本さんでは? という都市伝説まで存在する。昭和の強い女性を体現する美人女優であった。

【3月】寺田農さん

 3月23日、俳優の寺田農さんが肺がんのため亡くなった。享年81歳。寺田さんといえば、若い人たちの多くは『天空の城ラピュタ』のムスカの声の人という印象になるのだろうが、少し待ってほしい。寺田農といえば、ポッと出の新人時代になぜか主役に大抜擢された故・岡本喜八監督の傑作『肉弾』がやはり挙がるはずだ。  ドラマ『前略おふくろ様』(日本テレビ系)では萩原健一演じる主人公・片島三郎のすぐ上の冷たい兄・修役を務めたり、映画『オルゴール』では主演の長渕剛から日本刀で斬殺されたり、クズを誇張した嫌な役どころが本当にうまかった。物腰の柔らかさを維持しつつ、怖さも伝えられる俳優。加えて、自ら監督としてセクシービデオを制作したこともあり、若き日の椎名桔平を付き人にして面倒を見たエピソードも有名。なんとも稀有な存在だった。  そして、前述の『ラピュタ』について。後年、寺田さんはこう振り返っている。 「僕はラピュタを観たことがなかったからね。それはなぜかと言うと、声を録るときに宮崎駿監督とモメてさ」(「テレ朝POST」2022年11月8日)  作品がヒットしたら嫌な思い出に蓋をし、手のひらを返して代表作としてアピールする役者は多いはず。こんなふうに当時を正直に吐露する寺田さんからは、実直な人柄を感じた。
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曙太郎さん、キダ・タローさん
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