ニュース

【追悼】「昭和が終わった気がする年」2024年に亡くなった著名人・有名人…思い出とともに振り返る

【1月】エスパー伊東さん

 1月16日、元お笑い芸人のエスパー伊東さんが亡くなった。享年63歳。特異なキャリアを歩んだ人である。当初は超常現象肯定派として真面目にメディア出演していたはずが、いつの間にやらボストンバッグの中に入り込む人になっていた。  この“カバン芸”が売りでもあり、ネックでもあった。実は、中学生の頃に変形性股関節症と診断されていた伊東さん。つまり、股関節が悪いのに営業で小さいバッグに入りまくっていたわけである。ゴム手袋を鼻息で膨らませるという芸も、体に負担がかかっていないわけがない。2018年には股関節の治療のため芸能活動の休止を発表し、休業中には多発性脳梗塞を発症した。まさに、命を削る芸だったのだ。  近所のラーメン屋で「ぶつかった」と因縁をつけてきた男から定期的に金を脅し取られ、被害総額は1000万円以上にのぼったとされる恐喝事件も彼を追い詰めた。すぐに警察に相談すれば解決する話だが、伊東さんいわく「怖かったからすぐに相談できなかった」とのこと。なんとも脱力する話ではないか。しかし、こういう輩をすぐに撃退できたらエスパー伊東ではないという気もする。  振り返ると、この人が出演した回の『めちゃ×2イケてるッ!』(フジテレビ系)はハズレなしだった。めちゃイケ世代の多くは「はい〜」といえば、やすこよりもエスパー伊東だろう。「辛子饅頭ニコニコ食い」がもう見られないかと思うと、悲しい。合掌。

【1月】利根川裕さん

 1月29日、作家の利根川裕さんが下肢閉塞性動脈硬化症のため亡くなった。享年93歳。ドラマ『不適切にもほどがある!』(TBS系)で、主役の阿部サダヲが「昭和に戻ってトゥナイト見た〜い」と連呼していたが、なにを隠そう『トゥナイト』(テレビ朝日系)の初代司会者は利根川さんである。 『トゥナイト』がスタートしたのは1980年。番組前半では政治・経済を、後半ではセクシーな情報を扱う構成が多かった『トゥナイト』。80年代はビデオデッキが急激に普及していた過渡期で、当時の若い男子からすると『トゥナイト』は貴重なオカズ番組だった。胸を丸出しにした女性に山本晋也監督がインタビューし、「ほとんどビョーキ!」とお約束のセリフをキメる定番のくだり。もう、思い出すだけでうれしくなってくる。その一方、真顔で東京佐川急便を巡る汚職事件を扱う硬派な側面も断じて忘れない。今考えると、極めてカオスな情報番組だった。  ちなみに、『トゥナイト』の司会を務めたのは、『婦人公論』(中央公論新社)の副編集長を経て作家になった利根川さん。そして、1994年にスタートした『トゥナイト2』の司会を務めたのは『POPEYE』(マガジンハウス)を創刊した石川次郎である。「CMのうちにトイレへどうぞ」という乱一世の失言が放送されたのは、『トゥナイト2』のほうだ。現在、神田伯山が自身のラジオ番組のCM明けに「楽しいCMも終わりまして」とよく口にするが、もしかしたら『トゥナイト2』の乱一世を反面教師にしているのかもしれない。
次のページ
山本陽子さん、寺田農さん
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
おすすめ記事
ハッシュタグ