お金

「働かずにお金を稼ぐ」ことに心血を注ぐ30代男性の“原体験”「1枚8円の紙やすりを1日に何十回も買った」まさかの理由

金儲けの極意は“防御”にある

山野:本のタイトルには“怪しい金儲け”とありますが、どちらかというと“自衛”に役立ててもらえるような内容も多いのかなと。個人的にも防衛的な考え方がより本質で、その延長にビッグボーナスにつながることもあるという感覚です。 ――放送大学に入学して学割を活用する話は、防御策として一番想像しやすかったです。 山野:いま4年生なんですが、ゼロ単位で留年が確定しています。休学を挟めば14年生までいられるので、おすすめです。 ――14年生で退学・除籍になる頃にはアラフォーですか……。 山野:翌年度に再入学すれば死ぬまで学生でいることも可能です。最近はラーメン屋でしか使っていないですけどね。以前、中古PC屋の学割で20万円ぐらいのMacを3割引で買っていたら、あからさまにお店の人にイヤな顔をされてしまい……。ある日から「高校生以下の学生のみ」としっかり対策されていました。 ――ゼロ単の社会人がリアル店舗で学割を使うのは、やはりちょっと面の皮が厚くないと……。 山野:なんか申し訳ないことしましたね。放送大学って、その世界の権威の先生の講座を1万円くらいで受けられるので。来年は1コマぐらいちゃんと授業を受けようと思っています。 ――本書の内容で言うと、携帯の料金プランとポイント還元施策の解説も生活防衛的な意味合いが強いのかなと。 山野:ソフトバンクはアコギなイメージがあったんですが、今は逆に一番クリーンな料金プランを打ち出している印象を受けました。実際にソフトバンクは電気通信事業法が改正されるまで、行政指導を受けるようなことを繰り返していたんですけど。

騙しのような手口には「水を掛けたい」

――世の中の裏を読むことで、逆説的に庶民の金や時間を巻き上げる「プチ詐欺」のカラクリが理解できる面はありそうです。 山野:先日、連載で終身保険の解説をしたんですが、これも携帯の料金プランと本質的には同じですね。パンフの1面だけ読むと損しないように見えますが、終身保険って15年以内に解約すると1/3ぐらいの額が絶対に持っていかれる仕組みなんですよね。死亡以外では助けてくれないから、仮にがんで余命宣告を受けてたとしても解約すれば、1/3を持っていかれちゃう。その会社や商品サービスがどこで儲けているかを知るのは、やはり大切だと思います。 ――携帯の料金プランなどを読み込むほどのリテラシーは、大半の人が持っていないと思いますが、人為的に操作されたトレンドやブームに敏感な人は最近多いような気がします。
山野祐介氏

目論見通り、サイン入りCDをゲット

山野:操作されたランキングや、見せかけの数字は、僕もあまり好きじゃなくて。本書で取り上げたLINE MUSICの再生キャンペーンの話は、そういうものに対して「水を掛けたい」というモチベーションが強く表れた回でした。 ――アイドルのサイン入りCDをゲットするために指定された曲をLINE MUSICで7千回再生するという話ですね。 山野:1カウントの再生時間を調べて、自動クリッカーでひたすら再生作業をさせたんですが、金銭的な損得に関係なく水を掛けるのは大好きです。生き甲斐みたいなものですね。 ――そこまでですか(笑)。 山野:「損したくない」と「騙されたくない」は「≒」の関係ですし、PRとかって都合の良いことしか言わないので。商品やサービスの裏側を自分で見極められるようになると、けっこうおもしろいと思います。 ――“怪しい金儲け”をしていて、事業者とトラブルに発展したようなことはないですか? 山野:意外と僕自身は訴訟のような経験はないですし、自分がこっそり得するだけなら基本心配ないかなと。僕の場合、単に企業の用意したスキームに乗っかるよりも、“組み合わせ”を見つけることが好きなので、結果的に手法が他人とバッティングしないこともあると思います。
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自分一人でこっそり得するコツは…
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1988年生まれ道東出身、大学でミニコミ誌や商業誌のライターに。SPA! やサイゾー、キャリコネニュース、マイナビニュース、東洋経済オンラインなどでも執筆中。いろんな識者のお話をうかがったり、イベントにお邪魔したりするのが好き。毎月1日どこかで誰かと何かしら映画を観て飲む集会を開催。X(旧Twitter):@tsuitachiii

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