エンタメ

松田るかが演技で大切にすること「相手の名前を覚える」その理由とは

理想の夫婦像は「背中を預けられる人」

松田るか 映画『かなさんどー』――沖縄の風景の魅力を言葉で表すとしたら? 針葉樹がないので、尖ったエネルギーがたぶん無いのではないかと。 ――なるほど。 スギのような背の高い木がなく、常緑樹というか横に広がる丸い葉っぱの植物が多いから視覚的に優しいと思います。 あと、沖縄に帰ると「あ、いた! この生き物!」って、東京では見ない生き物が多いことに改めて気づかされますね。今回の映画でも夜のシーンでヤモリが鳴いているんですよ。本州の方はヤモリの鳴き声をあまり聞いたことない人が多いと思うんですけど、うちなんちゅ(沖縄出身の人)は「あ! ヤモリ鳴いてる! 夜だ!」ってなるんじゃないかなと(笑)。 ――では、松田さんが思い描く「理想の夫婦」とは。 体験したことがないので完全理想論になってしまいますが(笑)、ずっと思っているのが「背中を預けられる人」です。 ――どういう意味でしょうか。 安心感、信頼感、「この人になら刺されてもしょうがない」と思える相手。「背中を預ける」ってそういうことですし、そう思い合えるのっていいなって。

上京10年で変わらない仕事への姿勢と俳優論

――上京して10年、仕事に対する考え方や姿勢は変わりましたか。 変わらないのが「なるべく相手の名前を覚える」。共演者のみなさん、スタッフのみなさん、できる限り覚えるようにしています。見落としがちですけど、結局どんな仕事も「人」と「人」との仕事でしかないというか。 ――確かにそうですね。 台本を読んだりすると、どうしても自分が自分がって思いがちですが、その先には監督がいるわけだし、カメラさん、照明さん、音声さん……全部覚えきっているかはさておき(笑)、常にそういう意識で現場には入ります。 ――変わらない謙虚さが松田さんを支えているのですね。 小さな島から東京にでてきて、何が方言かもわからず、みんなよりスタートラインが下だと思ってました。上には上がいると思ってずっとビビってましたし、悩みすぎて円形脱毛症にもなりました。なので、せめてそれくらいは自分にもできることなのかなって。 ――芝居の面白さ、やりがいについてはいかがでしょう。 終わらないこと、だと思うんですよ。人間って「100」で知ることはたぶん不可能なので、終わりがないですよね。今回演じた美花だって、5年後もう一回台本を読み返すと、もっと違う人に見えるかもしれないし。突き詰めても突き詰めてもまだ“伸びしろ”がある。そこが魅力でもあり、そりゃハマっちゃうよなって思いますね。 ――答えがないって逆に怖くないですか? それぞれだと思います。決まった生活パターンで決まったことをやるのが好きな方もいらっしゃいますし、毎日違うことをしていたいって思う人もいらっしゃいますし。私はあまり怖さは感じてないです。
次のページ
松田るかが克服できない「人の感情を察すること」
1
2
3
4
株式会社ラーニャ代表取締役。ドラマや映画の執筆を行うライター。Xアカウント:@Yuichitter

記事一覧へ