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「家族全員で信号無視」外国人観光客が殺到する北海道で“ルール違反”が多発。線路内に入り“人身事故”も発生

中華系外国人の聖地と化した無人駅。1月には人身事故が発生

朝里駅

朝里駅。中国映画の舞台となったことで中華系外国人観光客の聖地に

 そして、最後に訪れたのは、小樽駅から札幌方面に3駅隣にある朝里駅。ここは崖と海に挟まれた無人駅で、4kmほど離れた場所には朝里川温泉があるが、駅周辺にはこれといった観光地はない。ところが、アジア系外国人の間でここは大人気の場所だ。  その理由は、15年公開の中国映画『恋愛中的城市』のロケ地だったから。真冬の雪に囲まれた海辺の駅という情景の美しさで話題になったためだ。  同作品は中国以外にも東アジア圏で公開され、ネットでも情報が拡散。それにより聖地巡礼に訪れる外国人が後を絶たない。  しかし、今年1月23日には朝里駅近くの踏切で人身事故が発生し、中国人女性が亡くなっている。どうやら線路内で撮影中に列車と接触したと見られている。

人身事故後も絶えない観光客。「警告」と書かれた看板も

朝里駅近くの踏切

1月に人身事故が起きた朝里駅近くの踏切

 筆者が朝里駅を訪れた当日もホームや駅舎内、駅周辺はアジア系外国人だらけ。ほぼ全員がカメラやスマートフォンで写真を撮りまくっている。  駅前では観光客が道いっぱいに広がり、クラクションを鳴らす車も。道路と海の間には民家やカフェが並ぶが、海をより間近で見ようと無断で敷地に侵入する者もいるのだろう。民家の窓には中国語で立入禁止を意味する「禁止进入」と書かれた紙も貼れている。 民家の張り紙 ほかにも1月の人身事故の現場を含む、駅近くの2つの踏切には、「警告」と書かれた看板が設置。ちょっと物々しい雰囲気だがすでに事故が起きていること、大勢の外国人観光客が訪れていることを考えれば仕方ないだろう。  恋人と香港から訪れたという20代の女性に話を聞いたが、「ネットニュースで事故のことは知りました。一歩間違えば命取りになりかねないからこそルールは守らなければいけない」と話す。  また、同じ20代だという彼氏も近くではしゃぎながら雪だまりに突っ込む中国人男性を冷ややかに眺めつつ、「気持ちが高揚するのはわかるけど、ああいう行為は控えるべき」と眉をひそめていた。  マナーを守って旅行を楽しむ人のほうが多いが、残念ながら日本のルールを守れない者も存在する。公共交通機関の混雑も多発する迷惑行為も外国人観光客の増加によって引き起こされた事態。訪日外国人はさらなる増加が予想されており、今以上にひどい状況にならなければいいが……。 <TEXT/高島昌俊>
フリーライター。鉄道や飛行機をはじめ、旅モノ全般に広く精通。3度の世界一周経験を持ち、これまで訪問した国は50か国以上。現在は東京と北海道で二拠点生活を送る。
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