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朝ドラヒロイン決定の髙石あかり、“手塚治虫の問題作”で「性別の無い役」を熱演。「とてつもない挑戦になりました」

合成人シグマ王として、とてつもない挑戦ができた

とてつもない挑戦

(C)「アポロの歌」製作委員会・MBS

――髙石さんは「第一世界」で昭吾の幼なじみのひろみ、「第二世界」では時代のアイコンである歌手のシグマを演じました。佳境に入った「第三世界」では、元々人間が作り出した合成人が、逆に人間を支配している世界のシグマ王として登場しています。 髙石:合成人のシグマ王には性別がありません。それも面白いなと思いました。でも見た目は人間ですし、言葉も普通の人間の言葉です。なので普通の人間と同じように演じることもできたのですが、シグマ王は読んでいて本当に不器用な人、というか合成人だと感じました。 ――シグマ王は不器用。 髙石:その不器用さをどうやって表現したらいいだろうと。逆に器用ってなんだろうかとか。たとえば「愛してる」という言葉を投げかけるにも、吐息混じりに言うのか、両手を広げて大きな声で言うのか。 表現の仕方はたくさんあります。その全てを一辺倒にしたらどうだろうかと思いました。すると残るのは目なのか、カラダから発するエネルギーなのか。とにかく制限することで、芯にある“不器用さ”が出るかもしれない。そう考えて、声の発し方や表情などを決めていきました。 「私、こんな声を発せられるんだ!」という声でずっと通してやらせていただいたので、それも自分の中でとてつもない挑戦になりました。

まっすぐに気持ちを伝えるというのは、すごく不器用なこと

まっすぐ気持ちを伝えるのは不器用――視聴者の反応が楽しみですね。 髙石:初めてシグマ王を見たときどういう反応になるのか、ちょっと不安ではありますが、その先を見て感じ取ってもらえたらと思います。 ――さきほど制限を設けたというお話がありましたが、合成人であることが、より愛への渇望を伝えてくれそうです。 髙石:シグマ王は、誰よりもまっすぐだったなと思います。まっすぐに気持ちを伝えるというのは、すごく不器用なことだと思うんです。 それを器用だという人もいますが、駆け引きがありませんから。駆け引きができないから思いを全部伝えてしまう。それって相手は重く捉えるかもしれませんよね。昭吾も感じます。それでも伝えてしまう。不器用だなと思いました。 普通なら、ひと作品でひとつのやり方で役にアプローチしていきますが、今回はいくつものやり方や方法を試し試しやっていったので、やりがいしかない作品でした。
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転生するなら、今とはまったく違う自分に
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ケーブルテレビガイド誌の編集を経てフリーランスに。映画周辺のインタビュー取材を軸に、テレビドラマや芝居など、エンタメ系の記事を雑誌やWEBに執筆している。親類縁者で唯一の映画好きとして育った突然変異。X(旧Twitter):@mochi_fumi

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