更新日:2025年03月14日 10:52
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「値上げしない」サイゼリヤが“驚異的な集客力”で営業利益20倍。「非日常型に変化した」ガストとの差別化が大きく進む

悪いインフレを生き残る経営戦略は?

 インフレ下のレストランの生き残り策は、人びとの意識がどのように変化するかにかかっています。  総務省の家計調査によると、2024年の全世帯における年間消費支出が301万円で、2019年比で0.5%ほどしか増加していません。一方、食費は89万円で8.7%も増加しています。洋服代や旅行費、娯楽などの支出額は下がっており、食費を捻出するために節約している姿が浮かび上がってくるのです。  外食費は17万円で、2.0%の増加。支出額はそれほど変化していません。  ただし、消費者の間で外食が贅沢だという意識は強まっており、外食頻度も下がっています。食費の高騰は衰える様子を見せず、帝国データバンクによると2025年の食料品の値上げは8月までの公表分で1万品目を突破するといいます(「食品主要195社」価格改定動向調査 ― 2025年3月)。  価格を抑えて手軽に外食をしたいという意識が強まればサイゼリヤ、たまに外食をするのであれば高くてもちょっと贅沢をしたいという思いが強まればガストが有利になるのではないでしょうか。  現在のインフレは需要が高まることで生じる良いインフレではなく、コスト高が進んで値段が高くなる悪いインフレだと考えられます。良いインフレでは価格転嫁が自然に進んでそれに合わせて賃金水準が上がり、経済は好転します。そうとは言いきれないのが現状でしょう。  サイゼリヤや需要の減退が長引いたデフレ下で成長した会社。庶民の気持ちをよく理解しているのかもしれません。 <TEXT/不破聡>
フリーライター。大企業から中小企業まで幅広く経営支援を行った経験を活かし、経済や金融に関連する記事を執筆中。得意領域は外食、ホテル、映画・ゲームなどエンターテインメント業界
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