「お笑い芸人で史上初」“日本推理作家協会”会員になったカモシダせぶん。「ピン芸のネタを基に小説を書きました」
お笑い芸人でありながら都内の書店でも働く“書店員芸人”という異色の肩書きで、本を紹介する番組やメディアにたびたび出演し、豊富な知識とプレゼン力で話題を博すカモシダせぶん。
創作活動にも取り組んでおり、9月には『探偵はパシられる』(PHP研究所)で小説家デビューを果たしたほか、芸人では初となる「日本推理作家協会」にも入会。
そんな彼が読書との出会いや“書店員芸人”と名乗り始めたきっかけ、「日本推理作家協会」の知られざる実態について語ってくれた。
――お笑い芸人になったきっかけは?
カモシダせぶん(以下、カモシダ):小学生のときに爆笑問題さんやネプチューンさんが出演していた『黄金ボキャブラ天国』にハマって、その後『M-1グランプリ』がスタートした影響もあって、ずっとお笑い芸人に憧れがあったんです。
それで芸人デビューするなら早ければ早いほうがよいと思い、高校3年生から松竹芸能の養成所に通い始めたのがきっかけです。
――読書に対しても、お笑いと同じくらいの熱量があったんでしょうか?
カモシダ:中学生ぐらいまでは活字の本は全然読みたくないと思っていました。だから、最初の読書体験もお笑いがきっかけですね。
中学生のときに朝読書の時間があって嫌だったのですが、爆笑問題さんの『爆笑問題の日本史原論』という本があることを知って。
それは日本史の登場人物を題材にした漫才形式の本なので、活字を読みながらお笑いを見られるぞと(笑)。あとはドラマ『トリック』が好きだったのでノベライズ版を読んだりもしていました。
でも、そんなズルをしているうちにもだんだん活字が面白くなっていって、小説も読むようになりましたね。
――いつから書店員をされているんですか?
カモシダ:最初は本だけじゃなく、DVDやCDも売っている中古販売店でバイトをしていました。そこで中古本を買っていくうちに読書が趣味になっていって、図書館にも通ってよく本を借りていたんですよ。それで本が好きなら書店で働こうと思ったのが始まりです。
――そのときは“書店員芸人”と名乗ってなかったんですか?
カモシダ:まだですね。5年組んだコンビを解散したぐらいのタイミングで、ピン芸人になっていたんですけど、自分の色が見つけられなくて困っていた時期です。
そんな矢先、書店員バイトをしていてフジテレビの朝の情報番組の『ノンストップ』で本に関する取材を一般の書店員として受け答えしたら、友達から「芸人辞めたの?」と連絡がたくさん届いて(笑)。これはまずいと思って、いっそのこと“書店員芸人”と名乗ることにしました。
――戦略的なものではなく、たまたまだったんですね。
カモシダ:そうなんです。そこでようやく「自分の色はこれだ!」と気付けて、人生の転機になったので感謝しています(笑)。
当時から『アメトーーク!』で読書芸人がフィーチャーされていましたけど、出演者は売れている芸人さんばかりだったので、読書好きぐらいじゃ引っ掛かりはないだろうと思っていて……。
でも“書店員芸人”は他に聞いたことのない肩書きだったので、自分にもチャンスはあると思いました。
――そこから仕事が増えていった感じですか?
カモシダ:“書店員芸人”という肩書きもそうですが、事務所が主催する「松竹お笑いビブリオバトル」という芸人が本のプレゼンをする大会で優勝できたのも大きかったです。
初めて自分の芸と趣味が噛み合った瞬間でした。そこから本に関する仕事をもらえるようになりましたね。
お笑い番組に憧れて高校生で養成所入り
書店員として出演した『ノンストップ』が転機に

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