「毎日お風呂に入れない」17歳で生活保護を受給した女子高生が直面した“貧困の現実と自立への道”
「生ポ」「怠け者」「不正受給」……生活保護に関するイメージは悪いものが多い。2025年5月のアーラリンクの調査(対象:生活保護受給者552人)によると、受給に「後ろめたいが仕方ない」と感じる人が60.7%、「恥ずかしい」12.1%、「当然の権利」は21.4%だった。
そんな生活保護の実態について、リアルに描かれた漫画『東京のど真ん中で、生活保護JKだった話』(KADOKAWA)が話題だ。本作は、作者の五十嵐タネコさん(41歳)の実話に基づいて描かれた作品だ。タネコさんに話を聞いた。
タネコさんは、6歳年上の兄と両親の4人家族で、東京都S区に生まれた。タネコさんが産まれた頃、父親が脳腫瘍の手術を受け、言語障害等の後遺症が残り、一家は貧困生活を送っていた。
「子どもの頃は勉強が得意で運動が苦手な、普通の子どもでした。友だちと遊んでいるとやや浮いていましたが、壮絶ないじめの経験はありません」
実家は、築年数が分からないくらいの風呂なしの2Kだった。銭湯代がなく、風呂には週1しか入れなかった。
「小学校5~6年生の頃には、お風呂に入っていないなど、些細なことで周囲とずれを感じたこともあります。一般の家庭と違うということは徐々に気づいていきました」
彼女が小学校に入学する頃には、母が乳がんの手術をする。その翌年に、バブルが崩壊し、父は最初のリストラに遭う。
「1回目のリストラの時は、関連子会社に出向することになり給与が下がったようでした。父は更に私が小学校高学年の頃に2度目のリストラに遭い、失業保険で生活している時期がありました。半年~1年くらいで再就職しましたが、暮らしは安定しませんでした」
タネコさんは、中学校に入ると、景品目当てで友人たちとボランティア活動に参加することになる。中でも、「子どもキャンプ」のボランティアが好きだった。そこで、彼女は人生を大きく変える、区役所職員の柳さんと出会う。だが、母が兄と衝突するなど、家庭内ではもめごとが増えていった。
「母が突然、マンションを買うと言い始めたり、賃貸住宅なのにリフォームをし始めたりと、奇行が始まりました。後に、母は統合失調症だと聞かされました。非常に教育熱心で、兄にも自分にも厳格な教育を課していて、『条件付きの愛情』でした。調子が良い時は『かわいい宝物』という一方で、思い通りにならないと怒ったり突き放したりするという、二面性がありました」
母の歪んだ教育の影響を強く受けたのは兄だった。
タネコさんが高校に入学すると、父が今度は 脳梗塞で倒れて、入院する。3度目の失業をした。兄は母との軋轢で、大学4年生の時に、休学しひきこもり始めた。母も入退院を繰り返し、家庭には不穏な空気が流れだした。

作者の五十嵐タネコさん(41歳)
貧乏でお風呂に入れなかった子ども時代

©五十嵐タネコ KADOKAWA
父の失業と母の統合失調症による奇行
ライター・原作者・あいである広場編集長。立教大学経済学部経営学科卒。「認知症」「介護虐待」「障害者支援」「マイノリティ問題」など、多くの人が見ないようにする社会課題を中心に取材する。文春オンライン・週刊プレイボーイ・LIFULL介護などで連載・寄稿中。『認知症が見る世界』(竹書房・2023年)原作者
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