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なぜ日本人は原子力から抜け出せなくなったのか? ドイツ人監督が描くドキュメンタリー

 原発事故後の日本を記録した、ドイツ人監督によるドキュメンタリー『Hibakusha』(監督/ラルフ・T・ニーメイヤー、ドロテー・メンツナー)の日本語版が完成した。   同作品は福島第一原発30km圏内、避難所、若狭湾の原発密集地域、電力会社などを取材し、3.11後に脱原発を決断したドイツの視点から切り取ったもの。小出裕章氏(京都大学原子炉実験所助教)、肥田舜太郎氏(医師)、アイリーン・美緒子・スミス氏(NPOグリーン・アクション)、山本太郎氏(俳優)らも登場する。  こうした綿密な現場取材と識者のインタビューを重ね、「広島・長崎で多大な被害を受けたはずの日本人が、なぜこれほどまでに原子力から抜け出せなくなったのか」という疑問を解き暴いていく。  日本語版の監修を行ったアーティストの増山麗奈氏はこう語る。 「放射能の問題は、日本だけの問題ではありません。これまで隠されてきた事実を知ること、話し合いを行うことが必要です」  ドイツは2022年までに国内の原発すべて(17基)を段階的に停止することを選択。そのうち8基は停止したが、9基はまだ運転中だ。  一方、日本は5月5日に北海道の泊原発3号機が停止され、国内すべての原発が停止している。そのため、夏の電力需要のピークに向けて、野田政権は大飯原発(福井県)をはじめとした原発の再稼働を急いでいる。   「日本の状況は、見方を変えれば悪いことばかりじゃない。いまは原発稼働ゼロという、エネルギー政策を転換する“絶好のチャンス”でもあります。このまま今後の再稼働を止められれば、原子力に頼らない世の中を作っていける。きれいな空気や水よりもお金のほうが大事だなんていう、おかしな世の中を一緒に変えましょう」(増山氏)

5月22日、東京・有楽町の外国特派員協会で会見を行うニーメイヤー監督(中央右)、増山麗奈氏(中央左)

 今後、米国やロシア、ブラジル、ベネズエラなどでも公開を予定しているという。日本ので上映スケジュールや上映希望の問い合わせ等、詳細についてはWAPA(World Anti Nuclear Peace Action)のサイト(http://wapa.at.webry.info/)にて。 <取材・文/北村土龍> 【上映予定】 「自然派カフェ ごパン」(神戸市灘区)6/23(土)19:00~、6/24(日)14:00~ 「スペースたんぽぽ」(東京都千代田区)6/30(土)13:30~ 「日比谷図書文化会館ホール」(東京都千代田区)7/14(土)14:00~
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