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都会人が誤解しがちな「田舎で働く」ことのリアルとは

給料が上がらない時代の今、都市部で働く若者は高い家賃に生活費を圧迫され、貯金もできず、明るい未来像も描けない。そのうえ、毎朝、満員電車に揺られて通勤し、夜遅くまで酷使される。そんな都会での生活に疲れ、田舎での暮らしを目指す人が増えているという。

都会人が誤解しがちな「田舎で働く」ことのリアルとは

「都会から農業や畜産業に憧れを抱き、就農を目指す若者。彼らが見過ごしがちな問題がひとつあります。それは”地方には歴史的な人間関係が存在する”ということ。各地域には顔役がいて、その人に挨拶へ行き、かわいがられないとスムーズに働くことができないという、長い歴史に培われた無言の仕組みがあります。これに気づかず、レタス農家になろうと地方へ行った若者は、畑への水の供給を断たれてしまい、途方に暮れていました」

 厳しい田舎暮らしの現実を教えてくれたのは、サンカネットワーク代表の山本和司氏。人手を求める農家や酪農家と、「農業や酪農を体験したい/仕事にしたい」という若者をマッチングするWebサイト「ボラバイト」を運営。これまで3万人近いボラバイターを送り出してきたエキスパートだ。

「就農ほどの覚悟ではない1週間、1か月滞在のボラバイトでも人付き合いの問題は発生します。農家では基本、仕事の後の衣食住もひとつ屋根の下。そこで、10人中9人を『いいコたちだ』と評してくれる農家のオヤジさんから、『おまえは帰ったほうがいい』と言われてしまう人がいる。事情を聞くと、仕事中に『こうしないとダメだぞ』とアドバイスされたことを受け入れることができずに、『オレなりにやっている』と逆ギレ。しかも、自分で農作業について下調べをしたわけでもなく、勝手な思い込みからです」

 田舎では、イメージに反して、都市部で働くこと以上にコミュニケーション力が問われるようだ……。

山本和司氏
農家、酪農家、宿泊施設等との窓口となる「ボラバイト」を運営。現在のボラバイト先は1万軒を超える。http://www.volubeit.com

取材・文/高尾マリ 紺谷宏之 館林創 佐口賢作 池田達哉(本誌)
イラスト/サダ 
アンケート協力/メディアパーク
― 脱都会[田舎暮らし]は生き地獄【10】 ―




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