全米で話題の伝説「イチローの呪い」とは?
阪神ファンの間で有名な、「カーネル・サンダースの呪い」のような都市伝説は、MLBには山ほどある。
1945年から現在まで続いている、シカゴ・カブスの『ビリー・ゴート(羊飼い)の呪い』や、2004年に86年の呪縛から解き放たれたボストン・レッドソックスの『バンビーノの呪い』。はたまたバンビーノの翌年に解かれた『シカゴ・ブラックソックスの呪い』などは、野球ファンならずとも、アメリカ人の間では有名な話である。
ここに新たに加わろうか、という新伝説が、あの日本人選手の周辺で起きている。ズバリ「イチローの呪い」だ!
◆45日間雨が降っていないシアトル
事の発端は、シアトル在住の市民からスポーツ専門局ESPNに寄せられた、何気ないネット上でのコメントだった。
「年中雨が多いシアトルで、『45日間連続無降雨』という”珍記録”が続いています。これは1951年に記録された51日間に迫る勢いで、偶然にも、イチローがヤンキースにトレードされた日から続いています。まあ、偶然とは思いますが……」(byマリナーズ大好きっ子)
これにいささか過剰気味に反応したのが、口さがないNYヤンキースのファンたち。
「え、マジかよ!? いわれてみれば、イチローが移籍してきた7/23には7ゲーム差あった2位との差が今や0ゲーム。しかも、その間の成績は19勝21敗だぜ、この野郎!」(byタテ縞我が命)
事実、イチロー加入以降のヤンキースは、前半戦の好調ぶりがパタリと止まり、7/18には10ゲーム差をつけていた、今季元中日のチェンが加入している、2位ボルチモア・オリオールズに、ついに並ばれてしまったのだ。
さらに深刻なのは、強打で鳴らす攻撃陣。昨日までの5試合で6安打以下が続いており、これは何と、1990年8月30日から9月5日の6試合連続6安打以下という球団ワースト記録に並ぼうか、という歴史的スランプに見舞われているのだ。
一方のシアトル・マリナーズを見てみると、オールスター以降の後半戦は30勝20敗。メジャー30球団の中でも3位という好成績だ。とくにプレイオフ争いが激化する後半戦の1勝は、1勝以上の重みがあると言われるなかでの貯金10は、”奇跡”としか言いようがない。
挙句には、2011年までの万年最下位から一転、今季はヤンキースと同率首位に並び大健闘を見せているボルチモア・オリオールズを例に、『(イチローがいない)来季のマリナーズは期待大!』と言われる始末。
裏を返せば、イチローの大物ぶりを明かすエピソード、とも言えるが、とにかくアメリカ人はこうした「呪い」の作成に命を懸けていることは確かなようだ。(注:文中の成績は全てアメリカ時間9/5現在です)
<取材・文/NANO編集部>
海外サッカーやメジャーリーグのみならず、自転車やテニス、はたまたマラソン大会まで、国内外のスポーツマーケティングに幅広く精通しているクリエイティブ集団。「日刊SPA!」ではメジャー(MLB)・プロ野球(NPB)に関するコラム・速報記事を担当。

実は「カーネル・サンダースの呪い」はアメリカでも有名。「New York Times」 が編集協力しているAbout.com が作成した。「野球界10大呪い」に堂々8位ランクイン!「呪いはまだ解けていない」との一文が哀しい……。(http://baseball.about.com/od/majorleaguehistory/tp/baseballcurses.htm)
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