最後の最後で開幕投手を明かした谷繁兼任監督の本心とは?
3,000名を優に越す来場者たちが、この日、最も沸いた。「開幕投手は川上憲伸!」という発言は「完全にアドリブだった」と、中日・谷繁元信兼任監督は、直後に記者に直撃され語った――。
24日、セ・リーグ6球団の監督、ドラフト1位選手が東京ビックサイトに一同に会した「セ・リーグ ファンミーティング」でのトークセッションでのことだった。中日ドラゴンズを除く5球団の監督たちが「うちは三嶋(一輝)でいきます」(DeNA・中畑清監督)、「ウチはエースの能見(篤史)です」(阪神・和田豊監督)など次々と開幕投手を公言するなかで、満を持してマイクを握った谷繁監督だけは「(他球団ファンの)皆さんは、うちの大野って投手を知っていますか?」などと煙に巻いた。
オープン戦全日程が終了し、開幕を4日後に控えたこの日、平日にも関わらず集まった熱心なファンを前に、6球団の監督が本音を戦わせるトークセッションは、スポーツ専門チャンネルのJ SPORTSが生中継するほどの熱の入れようで、壇上の6監督は舌戦を繰り広げた。
ファンが予想した開幕スタメンや開幕投手の予想コーナーでは、ほとんどの監督は「当たってますね」「いい線いってますよ」などとリアクションをしていたが、ヤクルト・小川淳司監督に至っては「2番は(高井)雄平で行きます!」などと、思わず開幕戦の全打順を公開してしまうほどの雰囲気のなかで、今シーズン、12球団唯一の新監督として指揮を取る谷繁元信選手兼任監督だけは「もう少し考えたい」「どうですかね……」など、落合元監督を彷彿とさせる、“けんもほろろ”な発言に終始した。
しかし、そんな谷繁監督の頑なな心境を変えたのは、最後に登場した巨人・原辰徳監督が「開幕投手は菅野智之です!」と発表し、会場を大いに沸かせたときだった。
◆戦力外通告選手が開幕投手に
「原監督が(菅野の名前を)言わなければ、ボクも最後まで黙っていようと思っていました。だけど、セ・リーグで中日だけ公表しないってのはどうなのかな、と思ってね。それで流れを受けて、ああいう発表となりました」と、最後の最後に、開幕投手に川上の起用を宣言した経緯を新監督は説明した。
昨年、自由契約となりながらも落合GM、谷繁新監督の強い要望で再契約を結んだ川上について、谷繁監督は「秋、そして春のキャンプを見ていて表情も態度も、期するものを感じた」と解雇された投手の“サプライズ開幕起用”の理由を説明した。
「もちろん川上には直接、自分の口から伝えたし、(候補として名前が上がっていた)大野とも個別に話をしました」。選手とのコミュニケーションを大切にしている谷繁監督は、常々「気は使わないけど、配慮はする」と言っている。「自分が選手時代に、いいなと感じたことは積極的にやっている」という監督は、一度は解雇された川上の野球に取り組む真摯な態度を見逃してはいなかった。
開幕戦の相手となるカープのファンからは「川上憲伸って名前からして強そう(20代女性)」「不気味な相手(20代男性)」と早くも嫌がられていたベテラン投手の起用明言。
ヤクルト・古田敦也元監督以来のプレイング・マネージャーとしてペナントレースに挑む新監督の初陣に、地獄を見た38歳の川上が初勝利を贈ることはできるのだろうか?
注目のプロ野球の開幕戦は今週末・28日(金)にプレイボールを迎える。
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