更新日:2014年06月09日 09:09
お金

経済悪化の割に日本株価が底堅い理由

昨年末を高値に低迷が続く日本の株価。安倍政権の消費税増税が実行されたからにほかならないが、経済悪化の割に株価は底堅い。その主因は指標面から見た日本株価の割安さだ。潜在的な上昇力を引き出す秘策を紹介しよう! ◆意外と底堅い!日本の株価が上昇に転じる条件とは?
(政治経済学者 植草一秀氏)
植草一秀氏

植草一秀氏

 安倍政権が補正予算規模を7.5兆円も圧縮。さらに消費税増税を実施したことで、合計16.5兆円のデフレ財政政策が日本経済に強い下方圧力をかけている。  年初来の日本株価下落は、この安倍政権のデフレ財政政策による経済悪化を織り込むものであると判断できる。米国や欧州の株価が史上最高値を更新するなかで、日本株価だけが低迷を続けてきた。1997年の消費税増税時は、株価下落が金融不安を強化して、大銀行や大手証券会社の破綻が生じた。日本経済は深刻な経済危機に陥ったため、今回も類似した大混乱が起こるのではないか、との警戒感は強い。  しかし、今回はやや様相が異なる。株価低迷は続いているものの、株価が底抜けしてしまう気配が強くは漂っていない。むしろ、底堅ささえ感じさせる株価推移が続いている。その理由を、3つ挙げることができる。  第1は株価指標から見て日本株価が著しく割安であること。第2は米国の金融引締め転換が先送りされつつあること。第3は中国、ウクライナ情勢等が小康状態を保っていることだ。  今回は、1番目の株価指標から見た日本株価の割安感について解説しておこう。  株価解説では、米国株価のPERが15倍ならば、日本株価のPERも15倍が妥当とするものが多い。しかし、この判断は正しくない。適正PERは各国で異なるというのが筆者の判断だ。  PERは株価が1株利益の何倍にあたるかを示したもの。この逆数が株式益利回りだ。1株あたりの利益が株価の何%に該当するかを示す。  適正な株式益利回りは、その国の債券利回りによって変わる。金利の低い国では適正な株式益利回りも低く、金利の高い国では株式益利回りも高いと考えるべきなのである。 ⇒【後編】『株価反発には追加増税の先送りが必要』に続く
https://nikkan-spa.jp/654880
【選者】植草一秀氏 シンクタンク主席エコノミストなどを経て、現在はスリーネーションズリサーチ(株)代表取締役。ブログは「植草一秀の『知られざる真実』」。近著に『日本経済撃墜-政策逆噴射の恐怖-』(ビジネス社)がある
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