SKE48夏の祭典「美浜海遊祭」の裏側にあるそれぞれの人の思い vol.3
8月4日、美浜海遊祭2014でSKE48のスペシャルライブショー当日。この日は会場がある愛知県知多半島に多くのSKE48ファンが集まってくる。この半島の最先端「羽豆岬」を題材にしたSKE48の歌があり、その歌を愛するファンが「聖地」として多数訪れたことから、地元民によって展望台が再建され歌碑が建立されるという「ドラマ」が生まれた。だが、そのドラマとは多分、歌唱メンバーの大矢真那が歌碑除幕式の翌々日、オフィシャルブログに書いたようなものだ。
――作られたドラマじゃなくて リアルな、生きて暮らすたくさんの人びとが作り上げた生きてる呼吸してる日々。
この言葉を噛みしめながら、ライブ翌日の8月5日に東海テレビを訪ね、ガチの「作り手」である東海テレビの稲吉豊プロデューサーに構成・演出上で配慮したことなど聞いてみた。
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ところで美浜海遊祭は東海テレビの夏の代表的な催事として毎年開催されている。期間中、開催されるライブは中核的なイベントだがSKE48のライブ出演したのは去年が初めて。稲吉氏が美浜海遊祭ライブ担当プロデューサーになって実現したのだ。
「美浜はSKEで行きたいと強く思いました。AKB48グループのドームツアーの真っ最中でしたが、いろんな奇跡が起きて実現しました。ファンの方からは『神イベント』『伝説のイベント』と褒めていただけたようです。メンバーにも喜んでもらえた。ファン、メンバーに喜んでもらえたのは本当に嬉しかった。そういった好意に支えられて2回目ができました」
SKE48が夏休みの忙しい合間を縫って地元・愛知のイベントに出演することに、地元放送局のスタッフとして大きな意義を感じている。
「SKEは地元のことを大事にしてくれているのは感じる。全国区で活躍するようになったSKE48というグループの全員が地元に来て、地元のイベントを盛り上げてくれるというのは、僕らにとっても、ファンにとっても、テレビを見た地元の方にとっても嬉しいことだと思うんです。全員で来るというのがすごく大事にしてくれている証しだと思いますし、テレビを見て好きになってくれる人もいると思うんです。ファンを大事にしながらもファン以外の視聴者にも愛される存在になってほしい。テレビを通して裾野がどんどん広がっていき、地元で不変の人気を獲得して、地元を元気にする存在として何十年として活動していってほしいです」
稲吉氏らは去年の『伝説』超えをしてやろうと意気込んでいたという。
「ただ、われわれ制作スタッフだけでなく、技術スタッフの本気度もすごかった。わたしの先輩で技術統括の溝口英則がスイッチャー(生中継等で画面の切り替え操作、カメラマンへの指示を出す重要な役)を担当しましたが、彼はSKE48の67人の顔と名前は全部知っていて、僕と同じように愛情を注いでくれています。会場後方にあったクレーンの正体は『25メートル工事用高所作業車』です。大ロング(俯瞰)映像を撮るために本番の2、3日前に溝口が緊急発注しました。去年はカメラ12、3台でしたが今年は18台のカメラを投入しました。ナゴヤドームの野球中継(通常10カメ)くらいの規模かと尋ねると『そんなの軽く超えてるよ』という返事が溝口から返ってきました(笑)」
しかも、SKEのライブは画面の切り替え、カット割りは野球中継よりもはるかにむずかしい。人数は多い、テンポは速い、決めゼリフはある。数人ずつでダンスのフォーメーションを組んでいるとやっかいなことだらけ。
「カメラは追うだけでも至難の業。カメラマンもスイッチャーも全員、彼女らの動きに食いついて、いい表情を逃すまいと必死でした。18カメですから、モニターも18台あって全部違う画が出ています。それを溝口は把握しながら、指示を出してスイッチングしていくのですが、隣で見ていて、もう神業でした。僕はSKEの全メンバーに技術スタッフ一人ひとりを誇らしく紹介したいくらいです」
「技術スタッフ、制作スタッフ、メンバー、マネージャーさん含めてスタッフ全員が愛情を持って臨んでいるからこそ、できる業なんです。中途半端なイベントではない。ド本気なんです。しかし、我々がそうやって臨めるのもSKEのメンバーがいつも本気だし、全力だからなんです。そういうところが僕はすごく好きです」
様々な舞台裏が存在し、作り出された美浜海遊祭。これからも夏の風物詩として継続されることを期待したい。
<取材・写真・文/竹内一晴 写真提供/東海テレビ(中継機材関連)>
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