日本は「5万人の中国共産党工作員」に狙われている【後編】
元首相が立て続けに訪中し、APECで日中首脳会談が実現するなど、一見良好になっている日中関係。2年前には尖閣諸島国有化問題などで激しい反日デモが起きていたのが嘘のようだが、雪解けムードの裏には中国共産党のある思惑があった。
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◆「民主活動家」を名乗ったスパイも暗躍
中国を警戒している台湾ですら、政府高官や軍上層部に多数の工作を受けているとなれば、「スパイ天国」の日本に、中国共産党のスパイがいないはずがない。
「中国共産党の対日スパイ活動は歴史が古く、記者、外交官、学者、留学生などの身分でスパイ活動を行う者は現時点で3万~5万人です。例えば’12年に日本のメディアでも報じられた、中国大使館書記官の李春光。彼は防衛関係者や農林水産関係者をはじめ、政財界に広い人脈を張ってスパイ活動に従事していました」(ジャーナリストの陳破空氏、以下同)
日本在住の「中国民主活動家」を名乗る中国人にも要注意だ。
「民主化を掲げつつも、実は中国共産党のスパイとして日本の政界やメディアに接触して情報を盗み取り、世界各地の中国民主化運動を監視する役目を負っています」
また、日本人を協力者に仕立てる場合には、おなじみのハニートラップが用いられる。
「中国共産党は『美人局』で日本の外交関係者に接触することがしばしばあります。最も有名な事件は’04年に上海総領事館の事務官が、中国人女性スパイの美人局にハマり、その結果、彼はスパイに加担させられるのを苦にして自殺してしまいました」
これでは習近平の友好ムードを信用するなど馬鹿げている。そもそも、9月以来、日本の小笠原諸島に中国漁船が大量に出没しているのも、実は中国共産党の対日工作の一貫だと陳氏は指摘する。
「表面的には貴重なサンゴを盗もうとしているように見えますが、漁船の数は日増しに増え、100t級の鉄筋鉄骨の大型船まで登場していることから、中国政府が漁民に船を提供している可能性が濃厚です。しかも、これらの民間の中国人漁民のなかには、漁民に扮した中国共産党の特別工作員が混じっていると見るべきです」
中国は尖閣諸島どころか、日本の小笠原諸島に対しても領土問題を主張しようというのだろうか。
「これは鄧小平が得意とした交渉テクニックです。自分で火をつけておいて、『消してほしければお前は俺の言うことを聞け』と譲歩を迫るやり方です。例えば、中国共産党は尖閣諸島をめぐる交渉でこう言うでしょう。『我々は、中国漁民を小笠原諸島付近へ行かせないようにしよう。その代わり日本は我々の漁民が尖閣諸島付近の海域で操業するのを許す(あるいは黙認する)べきである』」
我が国の外交担当者には、先を見据えた対応を期待したい。
【陳破空氏】
’63年、四川省生まれ。中山大学で教鞭を執っていた際、民主化運動の中心的存在として天安門事件に参加。2度の投獄を経てアメリカに亡命。現在はニューヨーク在住。著書に『赤い中国消滅』(扶桑社刊)や『日米中アジア開戦』(文春文庫)
取材・文/SPA!中国特捜班
『品性下劣な中国人』 なぜ中国人は世界中から非難されているのか? その疑問に陳破空氏が歴史・社会的背景などを交えながら迫る新書が扶桑社より絶賛発売中。愛や皮肉を交え、従来の中国批判本とは違った角度から現代中国人の素顔をあぶりだす一冊 |
『赤い中国消滅』 激動の中国を生き抜いた筆者だからこそ知り得た真実のすべて |
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