「運の流れを変えなければ」――46歳のバツイチおじさんはカジノに活路を見出そうとした〈第20話〉
突然、嫁さんにフラれて独身になったTVディレクター。御年、46歳。英語もロクにしゃべれない彼が選んだ道は、新たな花嫁を探す世界一周旅行だった――。当サイトにて、2015年から約4年にわたり人気連載として大いに注目を集めた「英語力ゼロのバツいちおじさんが挑む世界一周花嫁探しの旅」がこの度、単行本化される。本連載では描き切れなかった結末まで、余すことなく一冊にまとめたという。その偉業を祝し、連載第1回目からの全文再配信を決定。第1回からプレイバックする!
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46歳のバツイチおじさんによるノンフィクション巨編「世界一周花嫁探しの旅」、今回の滞在地は4か国目ベトナム・ホーチミンです。前回、26歳のゆみさん(本人の希望により仮名)を追いかけてホーチミンへたどりつくもうまく距離を詰めることができず、まさかの食中毒に陥り自滅したバツイチおじさん。果たして、バツイチおじさんは心身ともに復活することができるのか? 瀕死おじさんのズンドコ珍道中、今週は生死の境をさまよった「窓のない部屋」からスタートです!
【第20話 病み上がりの夜空に】
ゆみさんへの恋心を確かめるためにやってきたベトナム・ホーチミン。しかし、結果としてホーチミンで放置されたあげく、食中毒で動けなくなった。結局、俺が自滅しただけの話だ。そのまま飲まず食わずで4日目。なんとか水が飲めるようになった。
「何かを食べないと命がやばい」
そう感じ、重い身体を引きずりながらホテルの外に出た。
久しぶりに太陽の光を浴びる。
ビルの隙間から見る空はドス黒い青さだった。
こんな時、離婚をしていなければ妻がお粥を作ってくれただろう。
しかし、ここはベトナム・ホーチミン。そんなものがあるはずもない。
弱った内臓に良さそうな食べ物をバックパッカーの集まる安宿街で探した。
ベトナム料理はほとんどおいしいし、ハズレがない。
しかし、自分でも初めての、変な感覚が襲ってきた。
「食べ物が怖い」
現地の人が食事をしている姿や、決して綺麗とは言えないお椀で水を飲んでいる姿を見たら、急に恐ろしくなってしまった。欧米人が食べているベトナム料理を見ても同じだ。人間の防衛本能とは恐ろしい。
「それでも、何かを食べないとやばい」
自分にそう言い聞かせ、安全そうなご飯を探し回ったあげく、結局選んだのは「バーガーキング」だった。
バンコクのカオサン通りを始め、アジアの国々を旅して思ったのは、バーガーキングがある辺りはだいたい栄えていて、白人が多い。そして少しお洒落な場所にある。
ホーチミンのローカルな店よりは少しは安全だろうと思い、バーガーキングでワッパーを注文した。
いつもなら大好きなのに、今はそのハンバーガーすら大きすぎると感じる。
以前、フィリピンの「ジョリビー」という大手ハンバーガーショップのコカコーラの氷でお腹を壊した経験があったので、セットのコカコーラは頼まず、外からペットボトルの水を買ってきた。
1969年大分県生まれ。明治大学卒業後、IVSテレビ制作(株)のADとして日本テレビ「天才たけしの元気が出るテレビ!」の制作に参加。続いて「ザ!鉄腕!DASH!!」(日本テレビ)の立ち上げメンバーとなり、その後フリーのディレクターとして「ザ!世界仰天ニュース」(日本テレビ)「トリビアの泉」(フジテレビ)をチーフディレクターとして制作。2008年に映像制作会社「株式会社イマジネーション」を創設し、「マツケンサンバⅡ」のブレーン、「学べる!ニュースショー!」(テレビ朝日)「政治家と話そう」(Google)など数々の作品を手掛ける。離婚をきっかけにディレクターを休業し、世界一周に挑戦。その様子を「日刊SPA!」にて連載し人気を博した。現在は、映像制作だけでなく、YouTuber、ラジオ出演など、出演者としても多岐に渡り活動中。Youtubuチャンネル「Enjoy on the Earth 〜地球の遊び方〜」運営中
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