更新日:2017年11月15日 18:02
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「通商と軍事で中国を懲らしめろ」トランプ政権を操るドラゴン・スレイヤーたち【評論家・江崎道朗】

【江崎道朗のネットブリーフィング 第3回】 トランプ大統領の誕生をいち早く予見していた気鋭の評論家が、日本を取り巻く世界情勢の「変動」を即座に見抜き世に問う!

中国の不公平な通商政策こそアメリカの敵だ

中国 いよいよトランプ政権が発足する。トランプが日本の自動車メーカーであるトヨタを批判したことから、日本がターゲットになるのではないかと恐れる意見も強い。  しかし、トランプの主敵は、中国だ。  トランプの通商政策に大きな影響を与えているのが、『米中もし戦わば』(文藝春秋)を書いたピーター・ナバロ・カリフォルニア大教授だ。トランプは、通商政策を担当する「国家通商会議」を創設し、そのトップにナバロ氏を起用している。  ナバロ氏は2013年、「Death by China(中国がもたらす死)」と題するドキュメンタリー映画を製作し、昨年からユーチューブで無料公開している。  トランプが絶賛したこの映画では、「アメリカの製造業を壊したのは中国だ」と名指ししているのだ。ナバロ教授は、中国が強制労働、児童労働などによって不当に安い賃金、環境汚染無視、不公平な補助金などによってダンピング輸出を行い、アメリカを含む世界の製造業を壊してきたと批判する。  アメリカでヒットしたテレビ・ドラマ『ニキータ』でも、中国などからアメリカに入国した不法移民たちを工場に閉じ込め、強制労働を強いる中国人マフィアと、それと結託するアパレル産業の闇を摘発する場面が描かれている。  中国は、強制労働による不当なダンピング輸出をする国であり、そうした中国の不当な通商政策によってアメリカの大企業は儲けてきたかもしれないが、結果的にアメリカの製造業は壊され、雇用は奪われ、地方都市はさびれてしまったと多くの労働者は思っているのだ。  こうしたアメリカの労働者の思いをくみ取って、不当に安い価格で世界の市場を席捲し、自由貿易体制を破壊している中国の通商政策を是正しなければならないというのが、トランプの主張だ。トランプは、保護貿易を唱えているのではなく、自由貿易体制を守るためにも不公平なダンピング輸出をしている中国と戦うべきだ、と言っているにすぎない。  当然、中国大陸で児童労働、強制労働などによる不当に安い賃金によって儲けている一部の日本企業もその対象となる。アパレル関係を始めとして中国産の安い製品を輸入して、日本で販売する経済モデルは、トランプ政権の誕生とともにいずれ消えていくことになるだろう。それは、公平で、かつ優秀な技術力をもつ日本にとって決してマイナスではないはずだ。
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日本のマスコミが報じない、アメリカ軍の現場の本音
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(えざき・みちお)1962年、東京都生まれ。九州大学文学部哲学科卒業後、石原慎太郎衆議院議員の政策担当秘書など、複数の国会議員政策スタッフを務め、安全保障やインテリジェンス、近現代史研究に従事。主な著書に『知りたくないではすまされない』(KADOKAWA)、『コミンテルンの謀略と日本の敗戦』『日本占領と「敗戦革命」の危機』『朝鮮戦争と日本・台湾「侵略」工作』『緒方竹虎と日本のインテリジェンス』(いずれもPHP新書)、『日本外務省はソ連の対米工作を知っていた』『インテリジェンスで読み解く 米中と経済安保』(いずれも扶桑社)ほか多数。公式サイト、ツイッター@ezakimichio

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 ’17年、トランプ米大統領は中国を競争相手とみなす「国家安全保障戦略」を策定し、中国に貿易戦争を仕掛けた。日本は「米中対立」の狭間にありながら、明確な戦略を持ち合わせていない。そもそも中国を「脅威」だと明言すらしていないのだ。

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