「通商と軍事で中国を懲らしめろ」トランプ政権を操るドラゴン・スレイヤーたち【評論家・江崎道朗】
日本ではほとんど理解されていないが、日本を含むアジア太平洋地域の安全保障を担当しているのは、ワシントンの国防総省ではなく、ハワイにある太平洋軍司令部だ。ここは、沖縄の在日米軍も管轄していて、南シナ海や尖閣諸島を含む東シナ海の安全に責任を負っている。
太平洋軍司令部は、いざ戦争となれば、部下が危険な目に遭うことになるので、できるだけ紛争を抑止しようとする傾向がある。そしてこの太平洋軍司令部は、バランス・オブ・パワーといって、「紛争を抑止するためには、軍事的なバランスを維持することが重要だ」と考えている。
このため、中国が近年、急激な軍拡を進め、尖閣や沖縄、南シナ海で日本やフィリピン、ベトナムなどに対して軍事的中発を繰り返していることに対して強い危機感をもっている。
ところが日本のマスコミは、首都ワシントンとニューヨークにしか特派員を送っていないため、この太平洋軍の意向を少しも知らない。日本のマスコミは、現場の米軍の動向についてまったく取材していないのだ。
アメリカの安全保障について正確な情報が日本に紹介されないのも、ハワイの太平洋軍司令部に取材していないという構造的な問題がある。そしてトランプ政権は、親中派の国務省やCIAを嫌い、外交や安全保障についても軍の幹部を登用している。その幹部の多くが太平洋軍に関係しているのだ。
(えざき・みちお)1962年、東京都生まれ。九州大学文学部哲学科卒業後、石原慎太郎衆議院議員の政策担当秘書など、複数の国会議員政策スタッフを務め、安全保障やインテリジェンス、近現代史研究に従事。主な著書に『知りたくないではすまされない』(KADOKAWA)、『コミンテルンの謀略と日本の敗戦』『日本占領と「敗戦革命」の危機』『朝鮮戦争と日本・台湾「侵略」工作』『緒方竹虎と日本のインテリジェンス』(いずれもPHP新書)、『日本外務省はソ連の対米工作を知っていた』『インテリジェンスで読み解く 米中と経済安保』(いずれも扶桑社)ほか多数。公式サイト、ツイッター@ezakimichio
経済的安全をいかに守るか?実践的な入門書が発売!
’17年、トランプ米大統領は中国を競争相手とみなす「国家安全保障戦略」を策定し、中国に貿易戦争を仕掛けた。日本は「米中対立」の狭間にありながら、明確な戦略を持ち合わせていない。そもそも中国を「脅威」だと明言すらしていないのだ。
日本の経済安全保障を確立するためには、国際情勢を正確に分析し、時代に即した戦略立案が喫緊の課題である。江崎氏の最新刊『インテリジェンスで読み解く 米中と経済安保』は、公刊情報を読み解くことで日本のあるべき「対中戦略」「経済安全保障」について独自の視座を提供している。江崎氏の正鵠を射た分析で、インテリジェンスに関する実践的な入門書として必読の一冊と言えよう。
記事一覧へ
『インテリジェンスで読み解く 米中と経済安保』 経済的安全をいかに守るか? |
経済的安全をいかに守るか?実践的な入門書が発売!
’17年、トランプ米大統領は中国を競争相手とみなす「国家安全保障戦略」を策定し、中国に貿易戦争を仕掛けた。日本は「米中対立」の狭間にありながら、明確な戦略を持ち合わせていない。そもそも中国を「脅威」だと明言すらしていないのだ。
日本の経済安全保障を確立するためには、国際情勢を正確に分析し、時代に即した戦略立案が喫緊の課題である。江崎氏の最新刊『インテリジェンスで読み解く 米中と経済安保』は、公刊情報を読み解くことで日本のあるべき「対中戦略」「経済安全保障」について独自の視座を提供している。江崎氏の正鵠を射た分析で、インテリジェンスに関する実践的な入門書として必読の一冊と言えよう。
記事一覧へ
『アメリカ側から見た東京裁判史観の虚妄』 アメリカを浸蝕したコミンテルンの魔手「ヴェノナ文書」で明らかにされた日米開戦の真実−。日本も、ルーズヴェルトも嵌められたのか? いまアメリカで進む「歴史観」の転換に迫る。 |
『マスコミが報じないトランプ台頭の秘密』 トランプが世界を救う!権利や平等の名の元で破壊されつつある米国に立ち向かうトランプ。米国の惨状とトランプ人気の秘密がコミンテルンハンターとして名高い著者によって明らかとなる! |
『コミンテルンとルーズヴェルトの時限爆弾―迫り来る反日包囲網の正体を暴く』 外国勢力に手玉に取られる日本の現状に警告を発し、日本の取るべき対応の核心を衝く |
この連載の前回記事
この記者は、他にもこんな記事を書いています
ハッシュタグ