更新日:2017年11月15日 18:02
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「通商と軍事で中国を懲らしめろ」トランプ政権を操るドラゴン・スレイヤーたち【評論家・江崎道朗】

トランプが始める大軍拡

軍隊 では、トランプ政権は何をしようとしているのか。端的にいえば、「軍事的に強くなった中国との戦争を避けるために、アメリカも軍事的に強くなる必要がある」と考えている。要は大軍拡を始める、ということだ。  オバマ民主党政権によって45万人まで削減されることになっている陸軍兵力を54万人のレベルにまで増強する。空軍の戦闘機を1113機から、1200機以上のレベルに増強する。オバマ政権によって海兵隊の兵力が18万人まで削減されたが、それを20万人まで戻す。海軍の艦艇数が235隻まで減ったが、それを350隻まで増やす。  そのためには、防衛費をGDPの4%に増やすというのが、トランプ政権の公約なのだ。そして、紛争を抑止する力を高めるため、アメリカがこれだけの軍拡をするので、同盟国日本も現状のGDP1%、5兆円の防衛費をせめて世界標準のGDP2%、つまり10兆円まで引き上げるべきではないのか、というのがトランプの主張だ。  第2次安倍政権発足当初、安倍総理はセキュリティー・ダイヤモンド構想と称してアメリカ(ハワイ)、インド、オーストラリア、日本の四か国が軍事的に連携してアジア太平洋の平和を守ろうと訴えた。  ところが、中国寄りのオバマ民主党政権は、安倍政権に協力しようとしなかったばかりか、米軍の大軍縮を実施し、中国による南シナ海「侵略」に対しても何もしてこなかった。  しかし、トランプは違う。経済、そして軍事で中国の台頭を抑止しようとしているのだ。安倍政権からすれば、セキュリティー・ダイヤモンド構想を実現するパートナーがアメリカに現れたということだ。日本にとって絶好のチャンスと言っていいだろう。  繰り返すが、トランプはそのために防衛費をGDP4%まで引き上げようとしている。アジア太平洋の平和と安全を守ろうと思うならば、日本もせめてGDP2%、10兆円まで防衛費を増やすべきなのだ。 【江崎道朗】 1962年、東京都生まれ。評論家。九州大学文学部哲学科を卒業後、月刊誌編集長、団体職員、国会議員政策スタッフを務め、外交・安全保障の政策提案に取り組む。著書に『アメリカ側から見た東京裁判史観の虚妄』(祥伝社)、『マスコミが報じないトランプ台頭の秘密』(青林堂)、『コミンテルンとルーズヴェルトの時限爆弾』(展転社)など
(えざき・みちお)1962年、東京都生まれ。九州大学文学部哲学科卒業後、石原慎太郎衆議院議員の政策担当秘書など、複数の国会議員政策スタッフを務め、安全保障やインテリジェンス、近現代史研究に従事。主な著書に『知りたくないではすまされない』(KADOKAWA)、『コミンテルンの謀略と日本の敗戦』『日本占領と「敗戦革命」の危機』『朝鮮戦争と日本・台湾「侵略」工作』『緒方竹虎と日本のインテリジェンス』(いずれもPHP新書)、『日本外務省はソ連の対米工作を知っていた』『インテリジェンスで読み解く 米中と経済安保』(いずれも扶桑社)ほか多数。公式サイト、ツイッター@ezakimichio

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 ’17年、トランプ米大統領は中国を競争相手とみなす「国家安全保障戦略」を策定し、中国に貿易戦争を仕掛けた。日本は「米中対立」の狭間にありながら、明確な戦略を持ち合わせていない。そもそも中国を「脅威」だと明言すらしていないのだ。

 日本の経済安全保障を確立するためには、国際情勢を正確に分析し、時代に即した戦略立案が喫緊の課題である。江崎氏の最新刊『インテリジェンスで読み解く 米中と経済安保』は、公刊情報を読み解くことで日本のあるべき「対中戦略」「経済安全保障」について独自の視座を提供している。江崎氏の正鵠を射た分析で、インテリジェンスに関する実践的な入門書として必読の一冊と言えよう。
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