更新日:2019年08月21日 21:37
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情弱高齢者を食い物にし続けた悪徳不動産業レオパレス21/古谷経衡

情弱を食い物にし続けた悪徳不動産業レオパレス21

Leopalace21

レオパレス本社

 レオパレス21問題が深刻化している。建築基準法を満たさない欠陥住宅の存在が明らかになり、レオパレス社は入居者に退去通知を出している。一方、被害を受けたオーナーらは「被害者の会」を設立。ずさんな欠陥住宅へのチェックを怠ったとしてその怒りを国や行政に向ける。  レオパレス株は騒動が発覚してから後、3営業日連続ストップ安。底が見えない急降下の状況だ。レオパレスは不動産業だが、業態はサブリースと呼ばれる一括借り上げ、転貸しに特化した会社だ。  レオパレスの営業は情弱じいさんの家に夜討ち朝駆けをし、「お宅の庭にアパートを建てませんか」としつこく勧誘する。「アパートの建設は全部ウチがやります。入居者の募集、その他管理の一切をウチがやりますから、地主さんは何もしないで賃貸収入が入ってくるんです(家賃保証)」という甘言で、つぎつぎと契約書にハンコを押させ、次の日から工事が始まる。しかし、この契約はちゃんとレオパレスが儲かる仕組みになっている。  アパートは新築してから10年が最も収益性が高いと言われる。誰しもが新築に住みたいからだ。契約書には「賃料免責」期間があり、アパート建設から3か月ないし6か月は賃料保証の対象外となるのがサブリース契約の慣行である。  また、いざ賃料保証を開始しても、ほとんどの契約では2~3年で賃料を見直す、という特約事項がついている。物件が古くなったら高賃料では借り手がいないので、レオパレスが家賃を下げますよ、という通告ができるシステムになっているのだ。  そして、サブリース契約では地主側が貸主となり、レオパレスは貸主の土地に建てたアパートを一括して借り上げているだけの借主になる。レオパレスが入居者を募集するのは転貸し、つまり又貸しにすぎず、入居者も家賃を一旦レオパレスに支払っている。最もうまみのある建設から10年はレオパレスが利益を吸い取った揚げ句、11年目にはレオパレス側が契約を破棄することもできる。レオパレスが法的には借主で、借地借家法に守られる弱者だからである。
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情弱の高齢者が破滅していく
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(ふるやつねひら)1982年生まれ。作家/評論家/令和政治社会問題研究所所長。日本ペンクラブ正会員。立命館大学文学部史学科卒。20代後半からネトウヨ陣営の気鋭の論客として執筆活動を展開したが、やがて保守論壇のムラ体質や年功序列に愛想を尽かし、現在は距離を置いている。『愛国商売』(小学館)、『左翼も右翼もウソばかり』(新潮社)、『ネット右翼の終わり ヘイトスピーチはなぜ無くならないのか』(晶文社)など、著書多数

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