“群馬のブラジル”すでに移民と共生する町を歩く/古谷経衡
群馬県邑楽郡大泉町は、総人口4万人のうち、実に約16%を外国人が占め、その大半はブラジル人であることから「群馬のブラジル」と称されている。起源はかつて三洋電機がこの地に国内最大の冷蔵庫製造工場を造った折、大量の日系ブラジル人労働者を雇い入れたことに始まる。が、三洋電機はその後、パナソニックに吸収される形で消滅した。行き場を失ったブラジル人は母国に帰ることもできず、この地にコロニーをつくった。これが「群馬のブラジル」誕生の大まかな経緯である。
街を歩くと、ポルトガル語の看板が氾濫している。ブラジルは世界最大のポルトガル語国家だ。ブラジル人向け雑貨店ではブラジルの雑誌と日刊紙が所構わず並べられている。まさに地球の裏側に遷移した感を受ける。
町内にあるブラジル料理の店も繁盛している。私が行った店では、ちょうど地上波番組のクルーが取材中であった。大泉町=ブラジルのイメージは確実に定着しているようだ。ブラジル家庭料理とされる、旨い「フェイジョアーダ(大豆と牛肉などを煮込んだシチュー)」を食した。
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(ふるやつねひら)1982年生まれ。作家/評論家/令和政治社会問題研究所所長。日本ペンクラブ正会員。立命館大学文学部史学科卒。20代後半からネトウヨ陣営の気鋭の論客として執筆活動を展開したが、やがて保守論壇のムラ体質や年功序列に愛想を尽かし、現在は距離を置いている。『愛国商売』(小学館)、『左翼も右翼もウソばかり』(新潮社)、『ネット右翼の終わり ヘイトスピーチはなぜ無くならないのか』(晶文社)など、著書多数
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