キャッシュレスで借金地獄の可能性。後払いサービスの落とし穴
キャッシュレス決済サービスと、それに付随するアプリの進化が目覚ましい。一言で言えば「スーパーアプリ化」しているのだ。たとえばPayPayは、今の時点でQRコード決済だけでなくタクシーを手配する機能も有している。もはやPayPayは「キャッシュレス決済のアプリ」とは呼べなくなっている、ということだ。さらに今年から個人ローンやビジネスローン、リボ払い等の金融サービスもPayPay内に実装するとしている。
しかしこれは、消費者にとって本当に喜ばしいことなのだろうか? 思わぬ落とし穴もある。
何かしらの分野で大成功したアプリが「万屋」のようになっていくのは、PayPayだけの話ではない。世界共通の傾向とも言える。インドネシアの『Go-Jek』は、もともとはオンラインでバイクタクシーを手配するアプリだった。しかし独自のキャッシュレス決済銘柄『Go-Pay』をローンチしたあたりから、Go-Jekは突然変異とも言える成長を遂げる。Go-Payを基軸に、公共料金支払いサービス『Go-Bills』、動画配信サービス『Go-Play』やゲーム配信プラットフォーム『Go-Games』など、著しい多角化を同一アプリ内で実現させた。
また、Go-Jekに限らずインドネシアでキャッシュレス決済サービスを提供するアプリは「後払いサービスの確立」を目指している。これは銀行口座の保有率が50%程度に過ぎないインドネシアでは、極めて重要な問題だ。だが、後払いサービスが消費者から要望される国はインドネシアだけではない。
先日起きた後払いプラットフォーム『Paidy』の一件が記憶に新しい。これはオンライン通販で利用できるもので、新規会員登録の際の審査は一切ない。が、この簡単さゆえに、詐欺に悪用しようとする行為が発生したのだ。
いずれにせよ、このような方向性のオンライン金融サービスは今後増えることはあっても、減ることはないだろう。スマホを使った消費者金融サービスも、国外では既に確立している。ユーザーが手軽に融資を利用できれば、問題になるのは「審査の手間」だ。その審査をどうやって省くか、ということすらも思案されている。
中国のスーパーアプリ『Alipay』に『花唄』というサービスがある。これはクレジットカードのように分割払いもできる個人向け融資機能。Alipayのキャッシュレス決済残高が足りない場合、花唄からそれを即座に調達できるという仕組みだ。この花唄が、Alipay加盟店の世界的拡大につながったことは否定できない。同時にそれは、「人類全員がクレジットカードを持つ未来」につながる。
スーパーアプリが目指す「後払いサービスの確立」
中国人が利用する「花唄」とは
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