第29回「地球環境大賞」はあいおいニッセイ同和損保!災害のリアルタイム被害予測サイトを開設
「産業の発展と地球環境との共生」に向けた、技術開発や保全活動などに熱心に取り組む企業、団体を表彰する「地球環境大賞」(主催:フジサンケイグループ)。28日、受賞企業の発表が行われた。第29回授賞式は、4月8日、東京・元赤坂の明治記念館で行われる予定だ。
大賞には、災害発生時にリアルタイムで被害予測をするウェブサイト「cmap.dev(シーマップ)」を共同開発し、昨年6月に公開した、あいおいニッセイ同和損害保険・エーオンベンフィールドジャパン・横浜国立大学が選ばれた。気候変動による自然災害の大規模化・甚大化に対応する産学協同の取り組みとして、注目された形だ。
シーマップは、台風や豪雨などの災害が発生した際に、円滑な救助や支援活動へ活用するべく、被災した建物の棟数や被災率を即時に予測する。パソコンをはじめスマートフォンなどあらゆるデバイスから、24時間365日閲覧が可能で、こういったサイトの無償公開は世界初の試みだ。
また、ハザードマップやシミュレーションとは異なり、現在発生中の自然災害の予測結果を地図上に表示するため、現在の被災地域の状況とその後の予測から、実際に自身が被災した際の避難にも役立てることができる。2019年の地震や大雨・台風による被害は記憶に新しいが、今後はそういった場面での活用も期待していきたいところだ。
「経済産業大臣賞」は、熱を使わずにインクを吐出する独自技術を基盤に、最小限の環境負荷を実現する「インクジェットイノベーション」を推進したセイコーエプソンが受賞。「高速ラインインクジェット複合機 LX-10000F/7000F シリーズ」では、印刷1枚あたりの消費電力量が従来のレーザー複合機の約8分の1と大幅な省エネを実現した。
今回の審査に関して、審査委員長である武蔵学園学園長・有馬朗人氏はこう語る。
「脱低炭素化社会、持続可能な循環型社会の実現に向けた環境問題への取り組みはもとより、昨今の気候変動が要因とみられる自然災害への対応や、プラスチックごみ問題への対処が、各界・各層で一段と進んでいることが審査を通じて実感できました。
また、『パリ協定』や国連の持続可能な開発目標(SDGs)を意識した活動も活発化しているようです。今回、大賞を受賞したあいおいニッセイ同和損害保険をはじめ、それぞれの企業・団体が『地球環境大賞』の理念にふさわしい取り組みをし、成果をあげていることは大変喜ばしいことです。こうした活動や姿勢が温室効果ガスの排出削減など地球環境問題の解決につながることを大いに期待したいと思います」
7月からはプラスチック製買い物袋の有料化がスタートするなど、身近なところでも、環境諸問題に対する話題は枚挙にいとまがない。そんな中で、産業界が果たす役割への関心は高まり続けていくことだろう。<取材・文/日刊SPA!取材班>
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