更新日:2023年05月24日 15:32
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クルマ好きだけどイマドキの新車を買いたくない7つの理由

 腕時計投資家の斉藤由貴生です。私はクルマが好きで、これまで数十台を購入した経験があります。ただ、その中に新車は1台も含まれておらず、おそらく今後も新車を買うことはないと思っています。  中古ばかり乗っている私ですが、実は免許を取るぐらいの年齢の頃、いつかは自分も新車を買いたいと思っていました。やはり「新車」という響きには憧れますし、新車ならではの利点もあるといえます。

斉藤由貴生

 最も大きなメリットとしては、最新のモノを買うことができるという点ですが、それ以外にも、色を自由に選べるのは羨ましい限りです。かつて私は、緑色の外装にベージュ内装の新車をいつか買いたいと思っていました。  しかし今、そういったことまで含めて、新車を買うメリットはほぼ無いのではと思うのです。

色の選択肢が新車なのに少ない

 高級車含めて、最近のクルマは色の選択肢が以前に比べて少ないと思います。用意された色は、白、黒、銀。あとは青と赤があるぐらい。内装色も黒がほぼんどです。  それでは自分好みの配色にするという、新車ならではメリットを受けることができないと思うのです。

欲しいクルマが、これぐらいカスタマイズできるなら買いたいのですが……

 もちろんオプションを駆使して、自分好みの配色にすることは可能でしょう。その場合、注文生産となるため車両受け渡しまで時間がかかります。輸入車ならなおさら。そもそも、たくさん用意してオーダーメイドできるようにしても、わざわざ好みの配色を選ぶといった買い方は少数派なのでしょう。その結果、需要がないため、カラーバリエーションが少なくなったのだと思います。

そもそも新車の価格が高くなっている

 今の新車の価格を見ると、ずいぶん高くなったと思います。特に、搭載されるエンジンを見ると、ほぼすべてが3気筒か4気筒。6気筒以上を買うのは困難な状況です。実際、ドイツ車で6気筒エンジン搭載車を選択しようと思ったら、1000万円は覚悟しなければならないでしょう。

かつての愛車38万円で買ったセルシオ

 かつてであれば、6気筒エンジン搭載車は、輸入車だと500万円ぐらいから、国産に至っては200万円台から購入可能でした。それが、今では国産車では700万円程度、輸入車では1000万円ぐらいの予算を覚悟しなければ手に入らないのです。  軽自動車が高くなったといわれていますが、それに限らず、クルマは全体的に高くなっている印象です。もちろん、燃費を追及したり、安全装備などが増えたこともあるので、これは仕方がない流れなのでしょう。

価格が高くなっているのに安っぽさも感じる

 車両本体価格は高くなったのに、クルマ自体は安っぽくなっている点も気になります。特に内装のコストダウンは酷く、すぐわかるレベルでチープさを感じます。新車価格が高くなったのに、クルマ本体が安っぽくなっているというのは謎な現象ですが、数多くの自動車メーカーでそういった現象が起きていると感じます。  このようなことが起こるのは、上場企業の宿命かもしれません。株主は、右肩上がりの成長を期待しますから、経営者は前年比プラス成長を重視します。

18歳で50万円で買ったロールスロイスの内装

 本体価格を高くして、原価率を抑えれば企業の業績は上がります。通常であれば、そうすると「売れなくなる」となるところですが、自動車メーカーの数はそれほど多くないため、消費者的には「買う」という選択をするのでしょう。  確かに、今、新車しか買っちゃいけないと言われたら、買うことができるクルマは限られていて、かつてのような価格及びクオリティを維持しているモノは見つからないでしょう。

基本部分は画期的に進化していない

 20年ほど前まで、新車が出るたびに「未来がきた!」と感動しましたが、今では新車を見ても「どこが新しいのか?」と疑問に思ってしまいます。  実際、今のクルマが進化したといえるのは、燃費性能と安全性能だけといっても過言ではありません。90年代までは年を追うごとに目覚ましい進化がありました。例えば、1990年のクルマと2000年のクルマを比べると、大きな変化があるといえます。  90年代、クルマは安全性能が大きく進化しました。具体的には、96年頃にトヨタがGOA、日産がゾーンボディを打ち出し、大衆車でも運転席助手席エアバッグが標準装備。その頃、高級車ではサイドエアバッグが標準となり、98年にはカーテンエアバッグがプログレに世界初搭載されました。

今の愛車その1 メルセデス・ベンツ S500L W140中期型

 また、解錠システムについては、90年代前半にキーレスエントリー、2000年にはスマートキーが登場しましたが、2002年には日産マーチのような大衆車でも、スマートキーやカーテンエアバッグがオプション設定されていたのです。  また、カーナビが進化したのも90年代。ちなみに、現行クラウンでトヨタが売りにしているオペレーターとのコミュニケーションシステムは、96年の段階ですでに日産が実施。コンパスリンクを使えば、オペレーターに電話をかけて、「ディズニーランドに行きたい」と話すだけで、遠隔操作でナビを設定してもらえたのです(友人宅のシーマで90年代に体験)。  また走行性能についてですが、どんな道でも快適に運転できるという点では、80年代ベンツですでに完成されており、国産車でも2005年頃のクルマで完成されていると感じます。  以上のことから、2002年頃からクルマは大きく進化していないと、私は思うわけです。
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性能がアップしたから逆に退化した点も
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1986年生まれ。日本初の腕時計投資家として、「腕時計投資新聞」で執筆。母方の祖父はチャコット創業者、父は医者という裕福な家庭に生まれるが幼少期に両親が離婚。中学1年生の頃より、企業のホームページ作成業務を個人で請負い収入を得る。それを元手に高級腕時計を購入。その頃、買った値段より高く売る腕時計投資を考案し、時計の売買で資金を増やしていく。高校卒業後は就職、5年間の社会人経験を経てから筑波大学情報学群情報メディア創成学類に入学。お金を使わず贅沢する「ドケチ快適」のプロ。腕時計は買った値段より高く売却、ロールスロイスは実質10万円で購入。著書に『腕時計投資のすすめ』(イカロス出版)と『もう新品は買うな!』がある

もう新品は買うな!もう新品は買うな!

もう大量消費、大量生産で無駄遣いをするのはやめよう


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