お金

同じような健康器具を繰り返し買ってしまう理由

 クルマも腕時計も好きな斉藤由貴生です。私は、現代のおかしな消費を変えるために実践を重ねながら、いろいろ研究してきました。私は30代のいわゆるバブルを全く知らない世代です。所有欲の薄い世代とは言われますが、私の場合は、むしろ価値あるものは我慢せず所有したいと考えています。そんな私の価値観を、不定期ですが披露したいと思います。

斉藤由貴生

第36回 価値ある買い物は半永久的な満足感をもたらす

「限界効用逓減の法則」という言葉があります。  これを説明するためによく使われるのがビールの例です。1杯目のビールはおいしいけど、2杯目のビールは1杯目ほどおいしくなく、3杯目、4杯目となるとそろそろビールに飽きてきて焼酎にしようか、となるごく一般的な居酒屋の光景(ビール好きを除く)。  つまり、お金を使えば使うほど満足感が減ってしまうという悲しい現象なのです。これが「限界効用逓減の法則」です。ある程度安い値段のモノが手に入りやすいため、ポンポン買ってしまうものの、一向に満足できないということ。使ったお金は増えるのに満足感はどんどん減るという悪循環です。  今の世の中にある量産されたモノを買った場合、大抵はこういう結果になると思います。ですから、企業としては常に「前の製品と違う新製品」を作ることが重要になるわけです。消費者は前の製品には飽きていますから、飽きの解消には見慣れていない新しいモノが求められます。  それに対して、中学生でパテック フィリップを、高校生でロールスロイスを買った私は常に満足しています。  

実質10万円で買ったロールスロイスシルバースパー

 普通、パテック フィリップといえば「最後に買う腕時計」、ロールスロイスに至っては「買う」という発想にすらならないかもしれません。つまり、異常なほど早い段階で頂点のモノを手に入れてしまった状態。そんな私に対して、多くのオトナが「もう何を買ってもつまらなくなってしまうよ」と呆れていました。  しかし、それから十数年経った今に至るまで私は満足しています。時計とクルマが好きなので、安いモノでも高いモノでも何を買っても幸せです。しかも、モノを買うときに「売る」ということを重視しているので実質負担した額はほぼ一定しています。

売ることも楽しめれば一度の買い物で二度楽しめる

健康器具「売る」という観点でモノを買うということが消費者にとっても企業にとっても、とても良い行為です。でも、良いことはそれだけではありません。「売る」という前提でモノを買うことは、限界効用の常識すら覆してしまうからです。  楽天が「Shopping is entertainment」というように、モノを買うという行動はエンターテインメントそのもの。つまり、楽しい行為なのです。しかし、その楽しさを味わえるのは「買う」という一瞬にすぎませんでした。  もっともすべてのモノがそれに当てはまるわけではありませんが、買ったのに封を開けずに放っておくモノや使わなくなった健康器具など、買う時だけ楽しかったモノは多々あるはずです。にもかかわらず、また新しい健康器具を買ってしまうのはなぜでしょう?

ネットでなんでも手軽に買えるようになったため、買うことが目的化しているケースは少なくないでしょう

 それは、1回目に買った時に失った満足感を補填したいから。つまり、もう一度買うことによって幸せな気分が味わるのです。  とはいえ、その時の満足度は1回目より低い。お金を使ったのに満足度が低いという悲しいことが起きるのです。でも、「買う」というところに「売る」という要素が加わったら、もう一つの「エンターテインメント」が誕生します。すなわち、これまで「買う」瞬間だけ楽しかったところに「売る」ときも楽しいという、もう一つの楽しみが加わるのです。1986年生まれ。日本初の腕時計投資家として、「腕時計投資新聞」で執筆。お金を使わず贅沢する「ドケチ快適」のプロ。腕時計は買った値段より高く売却、ロールスロイスは実質10万円で購入。著書に『腕時計投資のすすめ』(イカロス出版)と『もう新品は買うな!』がある

もう新品は買うな!

もう大量消費、大量生産で無駄遣いをするのはやめよう

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