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個人情報問題で揺れるLINEは人の生活を幸福にするのか?注目したい4つの分野

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個人情報の問題は、LINEだけではない

 個人情報が委託先の中国企業でアクセスできる状態にあったことが判明したことで、LINEを活用した行政サービスなどが停止されています。  LINEは日本の人口約7割の人が利用している「インフラ」的な存在であることもあり、日本国内に大きな影響が出ています。  しかし、今回の件は、海外に業務委託をしている企業にとっては、どこでも当てはまる問題なのです。  コスト削減を理由に、中国などの外国企業に業務を委託している国内企業は多いです。また、今回の問題が大きくなったのは、個人情報の内容を中国政府が閲覧できた可能性があったという点です。

今回、懸念が高まったのは中国だったから

 中国には国家情報法という法律があります。  この国家情報法では、「いかなる組織も公民も、国の情報活動に協力しなければならない」と言っているのです。  つまり、中国政府が必要であるとなれば、情報を差し出さなければならないのです。LINEは今回、「個人情報の流出が無かった」と伝えていますが、知らずのうちにLINEのデータを、中国政府に見られてしまった可能性は否定できません。

改善点はガバナンスの強化

 個人情報の重要性が高まっている世の中で、今後は、個人情報を扱う日本企業はプライバシー保護のためにガバナンスをどう構築するか焦点になっています。例えば、富士通は個人情報を使う業務は基本的に中国では委託してない、NTTデータはソフト開発を中国で委託する場合、データを抜き取られていないことを確認しています。LINEも個人情報を扱う業務は国内に移転する必要があるでしょう。

LINEはヤフーと経営統合したばかり

 LINEとヤフーが統合した新生Zホールディングスの狙いは、米国の「GAFA」(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン)や中国のBAT(バイドゥ、アリババ、テンセント)など、海外のプラットフォーマーを意識していることは間違いありません。これらの海外勢のプラットフォームに対して「日の丸・ニッポン」のプラットフォーマーとして、どこまで存在感を示すことができるのか。チャレンジが始まったばかりのタイミングだっただけに残念ですが、今後、ガバナンスが強化されることを期待します。  皆さんもLINEやヤフーを使わない日がないほど、頻繁に利用されている方が多いでしょう。数字で確認すれば、月間利用者数6700万人の「ヤフージャパン」、月間8600万人の利用者の「LINE」、累計登録者数3600万人のスマートフォン決済「ペイペイ」が統合することになります。  結果、新生Zホールディングスは、上記の3つが連携し、国内総利用者数は3億超、国内総クライアント数は約1500万、国内サービス提供数は200超、グループ従業員数は約2万3000人という一大企業グループとして浮上します。  今回のガバナンスの問題があるものの、私はLINEとヤフーの統合には可能性を感じています。
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統合することで、私たちの生活は「豊かに」
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経済アナリスト/一般社団法人 日本金融経済研究所・代表理事。(株)フィスコのシニアアナリストとして日本株の個別銘柄を各メディアで執筆。また、ベンチャー企業の(株)日本クラウドキャピタルでベンチャー業界のアナリスト業務を担う。著書『5万円からでも始められる 黒字転換2倍株で勝つ投資術』Twitter@marikomabuchi

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