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日本代表のサッカーが守備偏重のワケ。勝たなければならない試合でも「リスクは負わない」

11月の予選2試合はともに1-0の辛勝

サッカー日本代表

大量得点が期待されたベトナム戦だったが、結果は…

 サッカー日本代表は、2021年最後の試合となるFIFAワールドカップカップ カタール 2022 アジア最終予選を戦った。11日のベトナム代表戦も16日のオマーン代表戦もアウェイでの厳しい戦いを強いられたなか、どちらも1-0で勝利。最高の結果とは言い難いが、結果・内容ともに及第点と言える試合だった。  また、オマーン代表戦と同日に行われた中国代表vsオーストラリア代表の試合が1-1だったため、日本代表はオーストラリア代表を抜きグループBで2位まで順位を上げることができた。ワールドカップ出場権獲得圏内に入ったとはいえ、年明け1月27日に中国代表戦、2月1日にはグループ首位のサウジアラビア代表と対戦することになっており、気の抜けない戦いは最後の最後まで続くことになりそうだ。  次戦までの約2か月間、日本代表は何をすべきだろうか。

大量得点を求められていたが…

サッカー日本代表

伊東は2試合連続で得点を記録。もはや前線に欠かせない存在だ

 最後までもつれることを考慮すると大量得点が求められたベトナム代表戦だが、移動に遅延が発生し全員が揃って練習できたのが試合前日のみという思わぬトラブルが発生した。そういった状況で新しいことを試すには時間がなかったため、森保一監督は前節オーストラリア戦とほぼ同様の戦術を選択。期待された大量得点は達成できず、伊東純也の得点のみで1-0の勝利を収めた。  最低限のノルマだけは達成したという内容だったが、想定外のトラブルで調整不足だったことを加味すれば喜ぶべき結果と言える。  続くオマーン戦では、警告の累積によって出場停止処分となった守田英正に代わり柴崎岳が先発し、4-3-3のシステムで試合に臨んだ。日本のホームで行われた第一戦と同様に、中央へ絞る形で守備を固めるオマーン代表に対して、日本代表はサイドを起点に相手ゴールに迫ろうと試みた。

封じ込まれた日本の展開力

 しかし、オマーン代表は柴崎岳、田中碧、遠藤航の中盤の選手にシステムを可変させマンマーク気味で守り、日本の展開力は封じ込められた。また、オーストラリア戦から採用した日本の3トップも研究したオマーン代表は、伊東にスペースを与えないようにしてチャンスメークをさせなかった。ストロングポイントの右サイドを封じられた日本は、必然的に左から展開することが多くなったが、中央寄りに位置する南野拓実が空けたスペースを長友佑都が有効に使おうと試みていたが、得意のオーバーラップで数的優位な状況をなかなかつくり出せなかった。 「2パターン用意していた」と試合後にキャプテンの吉田麻也が明かしたが、前半の状況を鑑みて森保監督はカードを切る決断をして後半から三苫薫を投入した。また、同17分には南野に代えて古橋亨梧、長友に代えて中山雄太を投入。それらの交代によってアグレッシブさを増した日本代表は同36分にゴールをこじ開けることに成功し、その1点を守り切って勝利した。
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日本に対応したオマーンの研究
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スポーツライター。日本最大級だったサッカーの有料メディアを有するIT企業で、コンテンツ制作を行いスポーツ業界と関わり始める。そのなかで有名海外クラブとのビジネス立ち上げなどに関わる。その後サッカー専門誌「ストライカーDX」編集部を経て、独立。現在はサッカーを中心にスポーツコンテンツ制作に携わる
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