更新日:2022年11月26日 23:38
スポーツ

森保監督が“覚醒した”ドイツ戦。奇跡の逆転劇が起こった背景

 サッカー日本代表がワールドカップの舞台で歴史的な一勝を挙げた。日本時間23日22:00にキックオフとなったFIFAワールドカップカタール2022グループステージ第1戦で、過去4度の優勝を誇る強豪のドイツ代表と対戦。1点をリードされて迎えた後半に、立て続けに2得点を奪う鮮やかな逆転劇で世界中を驚かせた。

無策と批判される森保采配だったが…

サッカーW杯 日本代表

不安要素も多かった森保JAPANだが、歴史的な番狂わせを起こした

 大きな勝因のひとつとして、森保一監督の采配が挙げられる。これまで無策と批判されることも多かった森保監督だが、やはり本大会に向けて爪を隠していた。  最終ラインに酒井宏樹、板倉滉、吉田麻也、長友佑都の4人を並べた4-2-3-1の布陣で試合開始を迎えた。対するドイツも同様の4-2-3-1の布陣で臨んできた。しかし、攻撃時にはこの布陣が極端に変化し、3-2-5になる。左サイドバックのラウムが高い位置を取り最前線に5人を並べる形で、最終ラインが4人の相手に対して数的優位な状況をつくる。現代サッカーでも主流となっている戦術だ。加えて、2列目のムシアラ、ミュラー、ニャブリが上下左右に動き、マークしづらい状況をつくり出していた。そのため、遠藤航や田中碧も前線に並ぶ5人の対応に回されてしまった挙句に、右サイドの伊東純也まで味方の最終ライン近くにポジションを取らなければならなかった。

前半の不調はなんだったのか?

 これで日本の前線に残されたのは前田大然、鎌田大地、久保建英になったのだが、それに対してドイツは最終ラインに残ったジューレ、リュディガー、シュロッターベックの3人に加えて中盤のキミッヒとギュンドアンでボールを回して攻撃を組み立てる。そのため、こちらでも日本は数的に不利な状況が生まれてしまっている。  前半は選手個々が誰をマークすれば良いのか整理できないままで、それが間接的に失点の原因となった。PKとなったシーンではGKの権田修一がラウムを倒してファウルとなったわけだが、ムシアラが下がった位置取りをしたため伊東と酒井の間でマークを受け渡す意思疎通がうまくいかなくなり、2人ともがムシアラのマークに行ってしまいラウムがフリーの状態になってしまった。  もちろん、ドイツが高水準の技術と戦術を誉めるべきなのだが、ラウムが高いポジショニングを取ることは事前からわかっていたことなので、前半を終えた時点では結局は無策で臨んだのかと落胆した人も多かったことだろう。だが、それは森保ジャパンにとっての前菜でしかなかった。
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後半になってまるで別のチームに
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スポーツライター。日本最大級だったサッカーの有料メディアを有するIT企業で、コンテンツ制作を行いスポーツ業界と関わり始める。そのなかで有名海外クラブとのビジネス立ち上げなどに関わる。その後サッカー専門誌「ストライカーDX」編集部を経て、独立。現在はサッカーを中心にスポーツコンテンツ制作に携わる
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